弓と禅

教養・その他の本

著者 オイゲン・ヘルゲル

出版社 角川ソフィア文庫

お勧めの読者

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弓道の禅について学びたい人

本書の概要

本書は、ドイツの哲学者が日本の弓道を実際に修行して、身体使いや精神の集中を身に付けていって、禅の無心の感覚を習得したことについて書かれています。

本書の内容

弓道とは何か

日本人は、弓道の道を、主に肉体的な訓練によって、的に中てることが標準となる、誰でも多少なりとできるようなスポーツ的な能力ではなく、その根源は純粋に精神的な修練を追求する能力であり、その目標は精神的に中てることにある。

弓道と禅の関連性

  • 射手は自分自身との対決するものになっている。そしてまさにこの点に、この道の本来的な精神が現れている。弓を射るときは、不動の中心であることにすべてがかかっています。
  • 禅は実践、沈思の実践であり、思惟的に詳論される知識には価値を置かず、その内における生きることにおいては挫けない力を得るようにさせている。
  • 弓を引くときは、意志を持たず、無心になって射が自然に離れるまで、待たないといけない
  • 弓を射る一時間前からできるだけ落ち着いて、正しい呼吸をして、自らを内的に調えること、あらゆる刺激から次第に自らを閉ざして、落ち着いて弓を引き、他のあらゆることは自然にゆだねる。
  • 神性と現世の生活の間、完全な忘我と明瞭な自我意識との間に、同一で分けられない関係がある。

弓道の極意

  • 呼吸が正しくできるようになれば、弓を射るのが日に日に楽になることに気付く。この呼吸法によって、あなたはすべての精神的な力の根源を発見するのみならず、力を抜けばそれだけ、この源泉から力がより豊かに流れ出し、より容易に四股に注がれるようになる。
  • 息をできるだけ長く常に流れるように吐いていき、徐々になくなるようにすることに重点をおいて、呼吸の稽古とコントロールのために、すーという音と結びつけるようにする。そうすることで息を吐き切って音が消えて初めて、再び空気を吸うことができる。
  • 呼吸が個々の分節と操作に意義深く強弱をつけるだけでなく、その呼吸能力の状態に応じて、次から次へと共に相まってリズムのある構成になっている。
  • ひたすら呼吸することに集中する
  • この道の最初の一歩は、身体の力を抜くことであるが、これなくして正しい弓の引き分けは決して生じない。
  • 正しい射の離れが上手くいくためには、身体の力を抜くことで、心も精神的に解き放つことへとすすめなければならず、最後には精神が活発に動くのみならず、自由にならなければならない。

日本の稽古の特徴

  • 無条件に形に習熟するように教育するのが、日本の稽古法である。稽古し、繰り返し繰り返し反復することによって先へと進んで、長い道のりを超えていくのが特徴である。
  • 礼法から、準備と創造、技的なものと芸術的なものと精神的なもの、状態的なものと対照的なもの、それらが相互に隔たりなく行き来する時に、正しく精神的な芸道者としてあるべき有様が達せられる。

弓道の心構え

  • 正射の後は、息は苦もなく滑るように吐かれ、急ぐことなく息が吸われて空気が入る。心臓は落ち着いて均一に打ち、集中は妨げられず、滞りなく次の射への移行を許す。
  • 正射は内面的には、射手自身にとっては、その日が初めて始まるような気分にする。
  • 射に失敗しても腹を立てない、射が上手くいっても喜ばない
  • 敵からも自分自身からも目を離して、したがって徹底的な意味で無心にならないといけない

禅の達人とは

  • あらゆる正しい創造は、真正の無我である状態でのみ成功する。
  • 達人は、生き方として、無限に広い真理に基づいて生きている。
  • 剣道の完成は、我と汝、敵とその剣、自己の剣とその遣い方について考えることなく、それができるようになれば、生と死についても心を煩わせないようになる。
  • 最高の自由は最も深い必然性となっているのではないのであるから、彼はこの終焉に抗しきれずに駆り立てられるや、新たな道ー街なき街の道へと赴かなければならない。
  • 彼は根源へと敢えて飛び込まなくてはならない。それによって、真理に基づいて生きる、真理と完全に一体となった人のように、彼は再び弟子になり、初心者になり、彼が登ってきた険しい道の最も険しい究極の部分も乗り越えて、新たな変容によって通り抜ける。
  • 彼がこの冒険に打ち勝つときには、その宿命が円成する、こぼつことなき真理、あらゆる真理を超えた真理、あらゆる根源の形なき根源、すなわち無、すべて有るものでもある無に出会う、無によって呑み込まれ、無から再生する。

総括

本書は、弓道の稽古を積み重ねていくことで、禅の感覚が研ぎ澄まされていくということを書かれています。

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