気功法の本

剣道関連の本

出版社  学研


充実度 5 読みやすさ 4 お勧め度 5   5段階評価

1.本書について

気功に関する重要な概念を詳しく説明されていて、本書1冊で気功とはこういうものというのが分かりやすく書かれています。現代の日本人が実践して役に立ちそうな知識が散りばめられていて実践方法も詳しく書かれており、気功に興味がある人には初めの1冊としてお勧めの内容です。

2.本書の内容

① 気について

先天の気とは「真気」あるいは「元気」と呼ばれるもので、父母から受け継いだ気のこと。生命の誕生と成長をつかさどる根源的なエネルギーとされ増やすのは難しい。

後天の気とは、「水穀の気」とも呼ばれ、食物や気功の修練によって、体内に取り込まれるもの。「営気」「衛気」などがある。

練功することで、気を実感することが大切で、自身の身体内に感じる内気と、身体を取り巻く世界から感じ取る、外気を掌で感じ取ること、ボール状の気を感じ取ることが大切。

② 気功の三要素 調心 調身 調息

調心とは、心すなわち精神を整えること、具体的には、意識を何かの対象に集中する「意守法」、力を抜き、ゆったりリラックスする「放しょう法」、黙ってある文字や文句を念じる「黙然法」などがある。

調身とは、身体を整えること、全身をゆったりリラックスさせること、具体的には、坐式、立式、臥式の3種類。

調息とは、呼吸法のことで、練功の基礎となる「口呼鼻吸法」の特徴は、第一に鼻から吸って口から吐くこと、第二には、吸う時間より吐く時間が長い、第三に吐くと吸うの時間配分は、2対1か3対1とする

③ 静功

静功とは、周りの事物に感覚や意識がとらわれず、過去や未来に思いめぐらせず、今ここに有ることになりきる

調身、調息、調心の三者の統一で体内に中心感覚が形成される。気を沈めて心を下腹におくことで下腹に丹田を感じることができ、心に軸と中心が形成されてくる。

站椿功 立禅とも呼ばれ、中腰で腕を輪にして立っているだけで足腰が強壮になり、内臓は丈夫になり、慢性的な体の症状が消える。

一定の姿勢で立つことで精神を集中させ、力を抜いてリラックスさせ、中枢神経を休ませ、気血を循環させ、新陳代謝を増強させ、外と内の両方から体が鍛えられて、心の深層の本能的意識が呼び覚まされる。

静座功 坐式は、腰をじかに床に下ろし上体が安定することから長時間の静功に適し、瞑想で行われてきた。

気功ではいろいろな姿勢があり、人の状況や体質によって姿勢を選ぶことができ、長時間安定して座ることができ、心身が安楽な状態で集中できていればよい。

臥式静功 寝ながら短時間で体力気力を回復させる方法で、体温が下がりやすく、暑がり、血圧が高い、労働やスポーツで足腰を毎日使っているなどの人におすすめ。

放しょう功 リラクゼーションに重点をおいた功法で緊張と弛緩のバランスをもたらす。
身体の各部に意識を集中し、筋肉、骨接を万遍なく弛緩させ全身を楽にさせる。

六字訣 呼吸と発声方法の心身におよぼす影響について六字が五臓の働きを促進する発声法として抽出されてきた。歯と唇の摩擦音が主となっていて、舌の位置、口型を正確にする必要がある

④ 動功

意気を統合しながら行う肢体運動、自己按摩、迫撃法などの方法を用いて内臓や筋骨、皮膚を鍛錬し、養生の目的を達成するもの。

肢体運動、呼吸鍛錬、意念鍛錬の3つの要素がある。
肢体運動は動功に必須で、肢体の屈伸、回転運動、前後屈などで、動作によって全身の気と血の流れをのびやかにし、各関節の動作を調整し、筋骨を強化する。

動功では動作をもって邪気などの体内に溜まった不要な気を掃除して、内気の流れを活発にしていく、これに対して静功は外部から気のエネルギーを取り込み体内を循環させて心身を養っていく。動功、静功が陰陽の関係となり、相互に補完しあいながら養生という目的を果たしていく。

せい手 簡単な動作で全身をリラックスさせ、気の流れを整える作用が高い。手を放り投げるように降るだけの単純な動功で、邪気を追い払う意味を持っている。

八段錦 何かをイメージしながら体を使い、前に伸ばしたら後ろを意識するというように、意念を重視し陰陽のバランスを取りながら練功を行う。

保健操 動きが柔らかく順序が簡単なので、性別や年齢に関わりなく誰でもできる。腰部をよく使う動作が多く含まれるので、腰痛の人の予防と改善に役に立つ。

大雁功 動作の数は多いほうだが、ひとつひとつの動作は簡単であり、女性や高齢者でもじっくり取り組めば修得は難しくない。その上に偏差など、気功法特有の禁忌や問題が少ないといわれ、能力開発にも役に立つので、学生や知識階級、頭脳労働者に向いた気功法として練功されている。

香功 功を続けていくと体から良い香りが立ち上るといわれている。初級、中級、上級に分かれている。

峨眉功 何種類かに分かれていて、それぞれの功法は陰陽五行説に基づき整理と関連づけが行われ、身体の部位ごとに、対応する功法が用意されている。

⑤ 周天

普通なら再生不可能な母胎内で授かった根源の陽気を再生するという魔術であり、養生法を超えた若返りの秘法である。

下丹田、中丹田、上丹田の三丹田に精を集め、火にかけて気に変容させて、産出された気は、奇経と呼ばれる気の通路のうちの督脈と呼ばれるルートに流れ込み、脊柱に沿って上昇して、頭部で任脈と接続する。任脈に入った気は喉から胸を下って、再び臍下丹田に戻る。このように気を循環させる功法を小周天という

大周天では、小周天で作り上げた先天の気を神(意識)と結合させ、督脈と任脈以外の奇経にも流していく、全身をくまなく先天の気でネットすることで、老い衰えた肉体を若々しい体に再生する。

(Ⅰ)小周天 最初にすべてのベースとなる精を補い、母胎から出てきた時のように損耗のないエネルギー状態に心身を復帰させることである。そのうえで精を気化し、その気を2つの脈に通して循環させる。この練功のことを小周天と呼ぶ。 小周天の修練には6段階ある。

ⅰ 煉己 静坐し、雑念を払って心を静め、丹とも薬とも呼ばれる根源的な気を生み出す作業に適した心身の状態を保持することをいう。一念代万念という方法を用い、思いを一つの対象に集中することで、それ以外の雑念が発生できないようにする方法で、数息観、外視法、聴音法、香功、存思がある。

ⅱ 調薬 薬とは、精を練って体内で作り出す根源的な気のことを言う。この作業は臍下丹田で行われる。臍下丹田にイメージで炉を設けて、点火し精を錬成する。

火とは何かというと意識(神)のことを言う。 火を上手くコントロールするために「火候」というテクニックを用いる。火は「風」の強弱でコントロールされる。風とは呼吸のことで、呼吸が火をコントロールする。

下丹田に丹ができるまで、火も風も極めて弱いことが望ましいので。呼吸は細く短く、息遣いを長くする必要がある。

ⅲ 産薬 体内に丹が生成され意識を丹田に集中させるとその部位に動きなどの感覚が生じてくる。これを産薬という。最も多い感覚としては、下丹田が暖かくなるという感覚だが、丹田中で気が動く、脈動を感じる、全身の毛穴から振動が起きる、大きな音響が響く、痒みを感じるなどの感覚が起こると報告されている。

ⅳ 採薬 臍下丹田で生成された丹を放置すると、精液に変質してしまうので、その前に集めないといけない、この採薬の作業からはより強い火「武火」が必要なので、四字訣と呼ばれる強い呼吸法が用いられる。

ⅴ 封炉 採薬された丹は下丹田に封じ込め、熟成される。これを封炉と呼ぶ。

ⅵ 煉薬 丹を全身に巡らし、全身に気を横溢させる段階へと進む。 尾りょ→ 督脈→、 夾脊→、玉枕→泥丸(上丹田)→中丹田→ 下丹田を通って一周する。

(Ⅱ)大周天  小周天で作った気を神(意識)へと変容させる。生まれた状態からもっている元陽の気を周天によって体内に作り出し、小周天では奇経八脈のうちの督脈と任脈しか開かないが、大周天では6脈もすべて開通し正経ともネットワークして全身の経路に気が回される

3.本書を読んでの感想、考察

他に読んだ気功に関する本と比較して、よく体系的にまとめられていて、理解しやすく書かれていて、気功に興味を持った人が最初に読む本として、お勧めしたいと思います。その中で特に興味を持った項目については、その内容に特化した本を探し出して読めばいいと思います。

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