スラムダンク(後半)

スポーツ漫画

作者 井上雄彦

発表期間 1990年10月1日 – 1996年6月17日

掲載誌 週刊少年ジャンプ


あらすじ

インターハイ編

インターハイ出場が決まって、湘北の選手達は試合の日程中に具合が悪くなって、指揮から離れていた安西先生の元に、準優勝を報告に行きました。インターハイが始まるまでに、湘北高校は静岡の強豪の常誠高校に練習試合にいって、試合経験をつみました。丁度同じ時期に、桜木花道は学校の体育館に残って、安西先生と一緒にジャンプシュートの練習を積み重ねました。

桜木花道は偶然街の中で海南大付属高校の選手達と出会って、清田選手と牧選手に愛知の地区大会の見学に誘われて、愛和学院の諸星大選手や、名朋工業の森重寛選手のプレーを拝見することができました。

豊玉高校×湘北高校

湘北高校の試合日程が組まれて、湘北高校は緒戦で大阪の豊玉高校と試合をすることになりました。豊玉戦に勝利すれば2回戦は山王工業、山王工業に勝てば、3回戦は愛和学院と当たる組み合わせになりました。湘北高校のバスケ週刊誌の評価はCランクで、豊玉はAランクでした。湘北は大黒柱の赤木選手以外はあまり名前を知られていませんでした。大会前に豊玉高校に旧友が在籍している陵南高校のマネージャーの彦一から豊玉高校の戦力分析が書かれてあるFaxをもらい同時にエールをもらいました。

豊玉高校は、典型的なオフェンス重視のチームカラーで、エースの南選手と、岸本選手と板倉選手が予選の高得点者の1,2,3位を占めて土屋を擁する大栄学園との決勝以外は100点ゲームで勝ち上がっていました。インターハイはベスト8の常連で、昨年は翔陽高校を破っていました。豊玉高校は、以前まで率いていた名将の北野監督が交代して、若い監督に代わっていました。若い監督は、チームの方針をディフェンスに重きを置くようにしていたので、選手達とそりが合っていませんでした。

湘北高校と豊玉高校の試合は、豊玉高校の応援の罵声が飛び交うなか行われました。豊玉高校は、湘北高校の選手に挑発をしながらプレーをしていたので、最初は湘北高校の選手は翻弄されてなかなか本領が発揮できませんでした。桜木はシュートを外して精彩を欠いていたので安西監督は選手を桜木から安田に交代してプレーを落ち着かせました。その後豊玉高校のエースの南選手が、流川選手にわざと肘うちをして目に負傷を負わせて思うようなプレーをしずらくさせました。南選手はそのままプレーを続行させて序盤は豊玉高校がペースの握りました。

豊玉高校の選手の挑発

後半は、目を負傷した状態で流川選手が気迫のこもったプレーをしてくるので、南選手はプレッシャーを感じるようになりました。湘北の選手達は後半になって落ち着きを取り戻し、本領を発揮しだして観客からも段々評価されてきて騒がれだしました。終盤で、湘北は勝ちが濃厚になってきて油断する場面がありましたが、赤木選手が気持ちを引き締め直して、豊玉高校に勝ち切りました。

湘北高校×山王工業

試合前

豊玉高校に勝利して、2回戦は優勝候補筆頭の山王工業と対戦することになりました。山王工業は昨年も優勝していて、その時の主力メンバーが3人残っていました。PGのキャプテンの深津選手は、常に落ち着いていて試合状況をよく見ている選手で、大事な時にいい働きができる選手でした。

FWの沢北選手は、仙道選手が勝てなかったと認めている日本一の攻撃力を持っている選手でした。センタ―の河田選手は、ディフェンスもオフェンスも何でもできる、今大学に入っても5本指に入るほどの実力が有る選手でした。

試合に備えて安西監督は、大学時代からの友人の豊玉の北野元監督からアドバイスをもらったり、昨年のインターハイの山王工業と海南大付属の試合をビデオで見て分析していました。一方で、山王工業の選手達は、高校のOBの大学の現役名選手達でチームを組んで、仮想湘北高校として、練習試合を行っていました。

安西監督は、山王工業を分析して、勝算は十分あると踏んでいました。試合前に、レギュラーの選手達を呼んでミーティングをしたり、一人ひとりに会って檄を飛ばして試合に臨みました。

試合開始

試合の前に、桜木が思い切ったパフォーマンスをしたので、みんな吹っ切れていい状態で試合が始まりました。試合の序盤は湘北のいいプレーが多く見られて、湘北が優位に試合が進みました。しかし、山王が得意のゾーンプレスを仕掛けてきて、湘北は雰囲気にのまれてしまって、あっという間に山王のペースに代わってしまいました。

山王工業のゾーンディフェンス

観客の興味は山王が何点引き離すかに代わっていきましたが、湘北は桜木が切り札として立ちはだかり、調子を取り戻し始めました。桜木選手は、リバウンドのボールをことごとく奪い取って、チャンスに変えていきました。

赤木選手は、最初は河田選手に意識過剰の状態で、周囲が見えていないところが有りましたが、魚住選手が、会場で檄を飛ばす場面があって、周囲を生かすプレーを心がけるようになりました。

流川選手は、沢北選手に勝負を仕掛けましたが、沢北選手のスーパープレーに圧倒されていきました。途中で周囲にパスをすることでプレーの幅が広がることに気付いて積極的にパスを出して仲間を生かしました。

桜木選手は途中で腰を痛める場面がありましたが、最後の力を振り絞ってプレーを継続し続けました。終盤になって、ひょっとしたら湘北が試合を覆すかもしれないという空気になって、湘北高校は、観客からも応援されるようになって、流れが再びやってきました。

ラストで流川選手が桜木選手にパスを出して、桜木選手が合宿で身に付けたシュートを決める事で逆転に成功して、チームは勝利することができました。山王工業に勝利して、3回戦は愛和学院との勝負になりましたが、山王工業との試合で力を使い果たしていたので、3回戦は余力が残っていなくて、完敗してしまいました。

本作品の好きなところ

1.登場人物に努力家が多い

スラムダンクに登場する人物は、最初から才能があって、バスケットも才能だけでプレーしているという人がほとんどいません。殆どの人が、名プレーヤーになるまで、膨大な量の練習をしていたり、隠れたエピソードを持っています。

強豪の海南大付属は、全国的に厳しい練習をする部活動で知られているし、陵南高校は、思い出すだけでも吐きそうになるような練習をしてきています。翔陽高校も、何時間も走り込みをする描写が見られます。湘北高校は、赤木キャプテンがしっかり見張っているので、練習は厳しそうに見えます。

主人公の桜木は最初からセンスの塊の選手に見えますが、やはり基礎の反復練習をたくさんさせられています。登場人物の表情や体つきは、全員引き締まって、洗練して見えます。目的がはっきりしていて、毎日しっかり努力を積み重ねているような雰囲気に見えます。

2.試合内容が正々堂々としたものが多い

スラムダンクのプレーは清々しいものが多いと感じます。故意にファウルを狙う選手はあまりいません。

海南大付属の牧選手は、チームの勝利のためなら、ファウルもいとわない選手ですが、常勝軍団を率いていて

常に勝つことを考えた上での行動の結果であると思われます。陵南高校の魚住選手をファウル退場させたときも魚住選手の慌てる心理を利用して行っていて、客観的に上手いと感じさせる場面です。

湘北戦で、桜木選手のシュートを強引に止める場面がありますが、やはり勝負に勝つために、相手に勢いを与えないようなプレーです。豊玉の南選手は、ラフプレーで相手校のエースに怪我をさせて、そのおかげで勝負に勝ったことがありますが、それに味を占めて、普段からやる癖がついてしまい周囲からエースキラーと恐れられるようになってしまいました。

しかし汚いプレーはセルフイメージを悪くしてしまい、相手の正々堂々としたプレーがプレッシャーとなってしまいます。南選手は負傷を負わせた流川選手に試合後に謝罪に行っているのも、礼儀がきちんとしていると感じます。

3.お互いの人間性を尊重している部分が多い

スラムダンクは、登場人物の人間性を尊重する描写が多く見られます。先輩は後輩をきちんと面倒見ているし、後輩は先輩の考えを学ぼうとしています。

安西先生はほとんど怒らないので、普段は周囲の人はリラックスしていますが、大事な場面では威厳があるように感じます。例え下級生のプレーでもすごいプレーはすごいと素直に認める雰囲気が有ります。

海南大付属の神選手は、1年生のときは、目だった選手ではなくても、コツコツ努力を継続させて、3年次には主力として活躍しました。監督も選手の才能が開花するまで待つ度量があります。

宮益選手は、見た目が小さくて華奢な選手で、周囲からも軽く見られやすそうな人に見えますが、3年間厳しい練習を継続させる根性が仲間達から評価されて、信頼が厚い選手として扱われています。中心選手の牧選手とも、対等に話していますし全体的にもそれが自然な雰囲気になっています。

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