太気拳 2

気功

太気拳の稽古法の続き

太氣拳成道会 城浩 練り

禅と這は体の内部の鍛錬、および内家拳の気の養成である。これに対し、「練り」は、外的な体の鍛錬であり、気を外面にだし、攻撃と防御の方法を身に付けるための稽古法である。柔らかく強靭な体を作ることが目的であるので、体を練る稽古方法は個人によって違いが有っても良い。

体を縮めたり、大きく伸ばしたり、捻ったり、手が5分下がれば体が5分下るというように、手と腰が常に一致していないといけない。この練によって、体を練り上げれば、年をとっても常に独特の動きができるようになる。体を練る過程には「迎手、払手、差手、打拳」という4種類の稽古法がある。最初はゆっくり、徐々にスピードを上げて練習する。

迎手

迎手とは、相手が攻撃したときに、相手の攻撃を自分の体の中(防御範囲の内)に迎え入れて防御する手である。相手の攻撃をすかすのも迎手の一種であり、相手の攻撃の最大威力を外すところに、迎手独特の良さがある。太気拳の相手の攻撃の外し方は、相手の攻撃を腰を下げつつ、柔らかく誘導することである。

しかも、気分は攻撃できる状態に充たされいなければいけない。注意すべきところは、あまり攻撃に気をとられて玩ぶ余裕がないと、迎手が力任せの防御となって、相手を十分に引き入れることができなくなり、却って相手の攻撃に調子を与えてしまう。相手の力をすかすということを習得するようにしたい。

払手

払手とは相手の攻撃を自分の体の内側から払って防御する方法であり、自分の体をひねり、腰を利用して、最小限度の動きで相手の攻撃を払うものである。特に注意することは、必要以上に強く払ったり、大きく払ったりしないことと、相手の拳を払う時、常に相手の中に入る気持ちで、腰を落とすことである。

差手

差手は、形意拳・大成拳・太気拳の技の神髄といっても過言でないだろう。相手が攻撃してきたとき、同時に自分も出て、防御すると同時に攻撃もするのである。相手の攻撃してきた瞬間、常に大胆に強く、そして速くはいり、しかも自分の体の防御もできていなければいけない。そのときもう一方の手は、添手になっている。

差手を習得するのは難しい。相手が攻撃してきた時の、不安を克服しなければいけない。不安を克服するには、「立禅や這」の稽古を行わなければいけない。相手の動きに瞬間的に反応して動くためには、目をあまり凝視してはいけない。目は相手全体をぼんやりとみるような感じで、相手の体全体の動きをとらえる必要がある。

太気拳の実践稽古

shimada michio taikiken kumite 島田道男先生 組手 太気拳

[禅・這・練」によって鍛えた技を実戦を想定して稽古する。稽古のときは、常に体が自然で柔軟な動きをするように心がけ、最初はできるだけゆっくりした動きで無駄のない防御と攻撃を会得するように訓練すること。

防御の場合、できるだけ自分の体すれすれで相手の攻撃をかわすのが良く、この防御の仕方もここで十分稽古できる。ここで「練」の稽古が十分であったかが確認できる。すなわち、手の位置、足の位置はこれでよいのか、あるいは腰が泳いでいないか、体が硬くなっていないか、顔が逃げていないかをあらゆる角度から見る必要がある。

組み手

「禅・這・練」の練習の成果を、相手との立ち合いにおいて実戦で学ぶのが組手である。組手の時の注意する点は、相手に手が触れた瞬間に、しかも無意識のうちにいかに自分の体をさばくかを心がけることである。その上に後退するときも、相手に押されて腰砕けになってはいけない。

目は相手の体全体を見て、手を柔らかくして相手の攻撃に対処することが大切。禅・這の稽古によって気が外に出てくれるようになれば、どんな攻撃や防御しようとも、それ自体が技になるのである。自分の動きは自分で創るしかなく、自分自身の体にあったものを自分自身で見出すのである。

探手

太気拳では、相手を仮想し、攻撃や防御の動作を一人で踊るように行うことを「探手」という。長く修練を重ねていって最終的には、攻撃や防御を無意識に行わなくてはいけないが、初期の段階では、各攻撃・防御の形を自らの創意に基づき、いろいろなパターンとして組み合わせ、意識的に行うことが必要である。探手は一人で行う動作であり、動きでその人の鍛錬度がわかる。

探手の動きは個人によって異なり、自分の個性に合った動きと形を自分で身に付ける必要がある。探手の動きは、静から動へと徐々に早く変化するのが普通である。また、常に相手を仮想し体を練るつもりで動くことを念頭に入れておかなければならない。体を大きく広げたり、時には体を縮めたり、また拳で突いたりして、太気拳の拳法の技が全て盛り込まれるような動きをするように心がけなければならない。

逆手

太気拳で逆手とは、相手が腕をねじったり、逆をとろうとするのを素早く逃げるための、すなわち相手から離れるための方法を逆手と呼んでいる。実戦においては、いろんな攻撃、防御があり、相手が常に同じ蹴りや拳で攻撃してくるとは限らないし、攻撃がそれた時に逆手が発揮されるのであり、太気拳の逆手は、手を取られた瞬間、一気に拳を引くと同時に腰を落とし、相手の重心を奪うのが基本となっている。

逆手を会得するにも、立禅から始めて這・練などで鍛錬して、気の発揮をしなければできない。まず、強靭な足腰をつくることを心がけていれば、おおよそ、いかなる危険な場面に遭遇しても、これらの原理を正しく発揮さえすれば、十分な効果は挙げられる。

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