1983年41号 – 1988年35号
週刊少年ジャンプ
原作:武論尊
作画: 原哲夫
世界観
北斗の拳は、199X年に世界で核戦争が起きて、あらゆる土地が破壊され、荒涼化した後に貨幣やインフラなどの国家秩序が無くなって、暴力が世の中を支配するようになった状態の中、主人公のケンシロウらが、大昔から引き継がれる北斗神拳を駆使して暴徒を抑えたり、覇権を狙って主人公に襲い掛かかってくる南斗聖拳を駆使する敵を倒したりして、世の中に平和を取り戻そうとしているところを描写している漫画です。
主人公のケンシロウは、3人の義理の兄がいて、長兄のラオウ、次兄のトキ、3兄のジャギが、北斗神拳の継承者の候補として、師匠のリュウケンの元で修業して腕を競い合っていました。

長兄のラオウは、権力欲が強く、また権力を握れるだけの実力を持っていました。パワーで相手をねじ伏せるタイプで暴力で周囲の人を従わせるような人でした。北斗神拳を継承するだけの実力はあったのですが、性格の適性が弟のケンシロウの方が優れていたので、継承者には選ばれませんでした。

次兄のトキは、兄に匹敵する実力者ですが、剛のタイプの兄に対し、柔のタイプの拳法家でした。心が優しい人物で、幼いころに滝で修業をしていたケンシロウが、バランスを崩して怪我しそうになった時に、かばって救出したことがあるような人です。継承者の選出から漏れた後は、病気の人を治療したり、不遇の人を助けたりする役割をこなしていました。放射能の死の灰を浴びて、体が弱っていく症状がありました。
三兄のジャギは、相手を倒すためなら手段を選ばない感じの人で、拳法の実力も2人の兄には遠く及ばず、継承者の候補からは、早い段階で外されました。実力をつけたケンシロウからも、蔑まれてみられるようになりました。ケンシロウが北斗神拳の伝承者になってからは、ケンシロウを恨んで復讐を計画するようになっていきました。

あらすじ
ケンシロウは最初に少年のバットや少女のリンに出会いその後ユリアを連れ去った、サザンクロスの町にいるシンの元に行きました。シンはKINGと呼ばれる組織を作っていてその中の一人であるゴムのような体を持つ巨漢のハートなどの難敵を蹴りでお腹をえぐった後秘孔を突くことで攻略して、最後は「ひでぶ」という断末魔の雄たけびを上げて死んでいきました。その後シンに挑んで北斗百裂拳を浴びせて倒しましたが、部屋にいたユリアは実は人形で、ユリアは死んでしまったと告げられました。
シンを倒した後に、リンが連れ去られたゴッドランドへ向かいました。そこでは殺人戦闘員のボスとして超能力を扱うカーネル大佐と戦いましたが、最初は南斗聖拳で動きを読まれて苦戦しますが北斗壊骨拳を浴びせて倒しました。その後タキという名の少年が水を探して助けを求めていました。しかしと隣の村の水を盗もうとした時に殺されてしまいました。わずかの水のためにかけがえのない少年の命が失われてしまう今の不憫な世の中にケンシロウは激怒して、なんとかしようとして岩盤を拳で打ち砕いて、水脈を掘り当てました。それをジャッカルが目撃していました。
素行の悪いジャッカルはケンシロウがいない隙に井戸を占領して抵抗する子供達を処刑しようとしました。その時に子供達を庇おうとしたトヨがダイナマイトの爆風を浴びて死んでしまいました。トヨに育てられたバットは怒り悲しみそれを目撃したケンシロウは、ジャッカルを退治をしにいきました。バイクでジャッカルが逃げている際に部下のフォックスが襲い掛かってきて、跳刀地背拳を使ってきましたが、上手くさばいて倒した後にジャッカルが逃走したので、追っていきました。ジャッカルは牢屋に閉じ込められているデビルリバースを召還して、ケンシロウに対抗しました。デビルリバースは身長が10m以上ありそうな大男で、何度も牢屋から脱獄した経験があり羅漢仁王拳を使ってくる強敵でしたがケンシロウは一蹴しました。
ケンシロウはトヨの子供達を守るために、その後子供達の面倒を見る事を約束したマミヤをリーダーとする村人達の用心棒として雇われました。その時村人たちは牙一族に襲われていました。同時にケンシロウと一緒に南斗水鳥拳を使うレイも同じく用心棒として雇われていました。ケンシロウはレイと出会い、レイはアイリという名の妹が連れ去られていて、復讐するために、七つの傷を持つ男を探していると告げました。ケンシロウは自分がそうだと応えますが、レイは別の男の仕業であると悟って、ケンシロウには攻撃せずに、仲間同士になり2人に襲い掛かっていた牙一族を協力して倒しました。
丁度そのころジャギが自分の胸に七つの傷をつけて、自分をケンシロウと偽って、部下を連れて街中で暴れまわっていました。ジャギはケンシロウの評判を落として復讐をしようとしていましたが、ケンシロウが目の前に現れて2人は戦うことになりました。ジャギは武器を使ってヘルメットをかぶっていましたが、実力は圧倒的にケンシロウが上なので、あっさりやられてしまいました。ジャギは、2人の兄がケンシロウを待ち受けていることを告げて、その後ケンシロウに北斗神拳奥義を使われて倒されました。
別の場所ではトキを装った男が、北斗神拳の秘孔の研究と称して、人の体を実験台にして面白半分に秘孔をついて、痛めつけて暴力をふるっていました。トキに扮した男は、自分自身を天才と称して、自分で新たな秘孔を見つけて、他人に試していました。その男は、以前に本物のトキにあって、侮辱されたことがありそれ以来、トキに根をもって、トキに成りすまして、評判を落とすような行動をとっていました。
名前はアミバといい、もともとは南斗聖拳の中の一人でした。アミバは、呑み込みが早くてあらゆる拳法をすぐに身に付けられる人でしたが、努力を嫌うところがあり、何をしても器用貧乏になっていました。プライドは人一倍強くて、ケンシロウに対しても、勝てると見込んでいましたが、あっさりやられてしまいました。
その後ケンシロウはマミヤから次兄のトキがカサンドラに収監されているということを聞きました。ケンシロウはどうしてもトキに逢いたかったので、カサンドラの島へ向かいそこの主門の前で彼に立ちはだかったのは、ライガとフウガの双子の門番でした。ケンシロウは北斗神拳で兄弟を倒して、二人は中への道を開いてくれました。中では鞭の術を扱う獄長のウイグルが待ち受けていましたが死闘の末に斥けて先へ進みました。拳王親衛隊がケンシロウの行方を阻もうとしましたが斥けて奥の方へ進んでいきトキと出会いました。
一方のレイはアイリの村が拳王侵攻隊に襲われそうになっていることを知って村へ駆け付けました。レイは抵抗しているリンを救出しようとして、拳王侵攻隊を次々と退けていき、ラオウとの戦闘になりましたが、ラオウに秘孔を突かれて敗れてしまいました。レイの代わりにトキが戦いに挑みましたが、トキは死の灰を浴びて衰弱していて形勢はラオウのほうが優勢でした。トキは段々劣勢になっていき、マミヤやレイを守るためにケンシロウが最後にラオウに立ちはだかりました。両者の激闘の末にラオウはいったん引き下がることになりました。
南斗水鳥拳のレイは、その後、自分のために薬を探そうとしてメディスンシティーに向かっているマミヤをケンシロウと一緒に救出して、妹のアイリが被害に遭っていた南斗聖拳のユダの元に敵討ちにいきました。ユダの本拠地にはユダの代わりに部下のダガールが待ち構えていましたがレイは自分を嘲笑するダガールを一掃しました。ユダはナルシストな性格で、自分の美しい体や顔にプライドを持っていて、自分が一番であると思い込んでいました。沢山の美しい女性を傍らにおいて、仕えさせていました。美しい女性達に、自分が一番美しいと言わせていました。
レイはユダとの対戦の前に、ラオウに会って北斗神拳で秘孔を突かれて、体に激痛が走る症状に襲われていました。命があと何日しか持たない状態にされていました。ケンシロウに、ユダと闘えるような状態にしてもらい、ユダに戦いを挑みました。ユダは、近くの池の堤防のレバーを破壊して街を洪水の状態にさせてレイが南斗水鳥拳を使えないように策を使ってきましたが、ユダの一瞬の隙をついて、南斗水鳥拳を見舞いました。ユダはレイの美しい技に見とれて、最後にレイを認めて死んでいきました。

レイはユダを倒した後、死ぬときの見苦しい姿を仲間に見せたくなくて、誰もいない部屋に行って、一人で死んでいきました。ケンシロウは、その後目が見えない南斗聖拳仁星のシュウに会って、戦い、北斗神拳が効かないと主張していた皇帝サウザーを倒しました。サウザーは身体の心臓の位置が左右反対という特徴を持っていました。
最終決戦の拳王軍のラオウとの対決になり、最初はトキがラオウに挑みましたが、トキはラオウを苦しめますが、あと一歩のところで負けてしまいました。ケンシロウは、北斗神拳の究極奥義の無想転生を身に付けて、ラオウに立ち向かって勝利して、ユリアを救出しました。
本作品の特徴と魅力について
北斗の拳の魅力は、バトルの描写が細かくて迫力があり、リアル感や生々しい感じがあるところです。北斗神拳で、敵が秘孔を突かれて、体を爆発させて死んでいくシーンは初見ではグロテスクな印象を読者に与えます。ケンシロウは、どんなに強い相手でも最終的には鮮やかに北斗神拳を決めて爽快に相手を倒していきます。
北斗の拳で登場する敵キャラは、どの人物もいかにも悪人らしい特徴を持っていて、読者はケンシロウに感情移入して、悪人がケンシロウに派手にやっつけられるところを見たくなります。
敵キャラは、北斗神拳が通用しないゴムのような体を持つ男や、武器を持って襲い掛かってくる男や、ナルシストでうぬぼれが強い人物など様々な特徴の人物がいます。
北斗神拳のライバルのようなものに南斗聖拳があり、北斗神拳が体の内部から破壊していくのに対し、南斗聖拳は外側から華麗に体を切り刻む拳法です。
南斗の6星をそれぞれ司る6人の拳法家がケンシロウに立ちはだかります。
北斗神拳で秘孔を突かれた敵キャラは、最後に体を爆発させる前に、「あべし!」や「たわば!」などの断末魔の雄たけびを上げて死んでいきます。この時のセリフが独創的でコミカルな言い回しになっていて、頭に残りやすくなっています。
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