最近私は、高校生のトップレベルの試合や、小中学生の全国大会や大学生や社会人のトップレベルの試合をYoutubeの動画で見ることが増えています。
最近の剣道を見て一番感じることは、剣さばきのスピードが速くなっていることです。トップ層の選手達は、ダイナミックな動きで竹刀をよくしならせて豪快に技を出しています。まず相手の強さを計る重要ポイントとして剣のスピードがウェイトを占めるようになってきています。
それに比べて、中心が強い感じのどっしりと攻めるタイプが最近減ってきています。昔なら大将タイプの選手です。最近は手数が多いけれど一本一本の精度が物足りなく感じます。一撃が直線的でシャープに決める感じがあまり見られなくなってきています。
特に高校生以下の選手達は、足の重心が前足に偏っていたりして、剣さばきは早いけれどすっきり中心を攻めて、綺麗に踏み込んで確実に一本をとるというのが減ってきているように感じられます。
私はこれの原因を分析すると、普段の生活での姿勢が影響していると考えます。最近の子供達の環境は、どこも道が整備されていたり、運動する時間も減っていって、変化のある環境で沢山運動することで磨かれる身体感覚を身に付ける機会が減ってきています。それに対して、スマートフォンやパソコンなどの道具を使う機会が増えています。
そのため、真っすぐすっきり立ったり、綺麗な姿勢で歩いたり立ったり、ボールを上手く扱ったりするのが下手になってきているとかんがえられます。
私は上記の症状を改善するための子供達の身体感覚を養うトレーニングとして立禅が効果が期待できるのではないかと推測しています。
立禅は大気拳の最重要トレーニングで、武道の基礎的な体を作るトレーニングとして行われています。太気拳は日本人が創始した大自然のなかで気を練る訓練をこなして自分で自分に適したフォームを身に付けて相手の動きに感覚的に反応して技をかけて倒すという競技です。
立禅を毎日こなすことで、気の感覚が養われて、重心を安定させた状態で、相手の動きに瞬間的に反応する力が身に付きます。立禅は立ったまま静止するので、真っすぐすっきりと立つことができるようになります。また膝を曲げた状態で静止するの裏転子を強化する効果も期待できます。
今の剣道の稽古では、あまり立禅を稽古に取り入れているという話はきかないのですが、常歩剣道に興味を持っている指導者が多く、立禅は常歩剣道を身に付けるためには、とても役に立つトレーニングなので、剣道上達にも期待できます。私は立禅を是非稽古に取り入れてほしいと思います。
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