めぞん一刻 2

青春漫画

ジャンル: ラブコメ・青年漫画

作者: 高橋留美子

出版社: 小学館

掲載誌: ビッグコミックスピリッツ

発表号: 1980年11月号(創刊号) – 1987年19号


主要登場人物 続き

音無 響子(おとなし きょうこ)

音無響子

本作のヒロイン。1959年10月10日生まれ。年齢は27歳。血液型はA型。若くて美人、スタイル抜群。1980年の秋、本作の舞台となるアパート「一刻館」に住み込みの管理人として赴任します。

その美貌に五代は一目で虜になり、常に気になるマドンナ的な存在となります。後に未亡人であり、五代より2歳年上であることが分かります。通称「管理人さん」。キャラクターのモデルは女優の夏目雅子。また、著者は性格が自身に一番近いキャラクターとして音無響子を挙げています。

音が無いのに響く子というのはサイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」と同じ構造の矛盾語法であり、本人の矛盾した行動を象徴しています。

概歴

女子高である私立桜ヶ丘高校の出身で、テニス部に所属していました。講師として赴任してきた音無惣一郎と出会い、高校卒業後の1979年親の猛反対を押し切って惣一郎と結婚します。しかし、結婚して半年足らずの翌年1980年の春に惣一郎は亡くなってしまいます。

失意のどん底にあった響子でしたが、惣一郎の父・音無老人の取り計らいでアパート「一刻館」に住み込みの管理人としてやってきます。野良犬だったペットの犬も「惣一郎さん」とよんでいます。

音無老人や母親は響子に再婚を勧めて(実父は再婚に反対)いましたが、響子は気持ちの整理が付けられず、音無の姓を名乗り続けていました。「非常識のかたまり」の一刻館の住民や周囲の人々との触れあいや生活は、少しずつ響子に笑顔を取り戻させ、失意と喪失感に覆われていた心を和らげていきました。

五代については一刻館に赴任した当初から出来の悪い弟の面倒を見るように世話を焼いていました。そんなある晩、五代が酔った勢いで響子を好きだと叫んだことから五代の自分への想いを初めて知り、異性として意識し始めました。

テニスクラブのコーチ・三鷹瞬からもアプローチを受け両者の間で揺れ動きながらも、五代の心根の優しさや厚意に絆され、次第に心惹かれて行きます。しかし響子は、五代への恋慕の情は亡き夫への想いを「嘘になってしまいそうで…」と自問自答し、自分の気持ちに戸惑いを感じていました。

そのため五代の気持ちを受け入れることにも躊躇していました。ある出来事から三鷹は他の女性と婚約し、五代とも決定的な破局寸前にまで至る騒動が立て続けに起こりました。それらの誤解が解けた時、自分の気持ちに素直に向き合い、結ばれて一晩を共にするに至りました。

五代の就職後、プロポーズを受け、再婚を決意し準備を進めるも惣一郎の思い出の品を前に悩む姿もありました。そんな姿を五代も見ており、その心に棲んでいる惣一郎の存在も否定せず受け入れてくれた五代に「あなたに会えて本当に良かった」と感謝していました。結婚後、翌春に長女・春香を出産します。

人物・エピソード

「音無」は結婚後の苗字で、旧姓は「千草(ちぐさ)」。幼少時は父親が転勤族であったため各地を転々としていました。普段は穏やかでいつも微笑みを絶やさないです。基本的に明るく快活で優しい性格の反面、非常にヤキモチ焼きで世間知らずであり、思い込みも激しいです。

また、親譲りの鈍感な面もあり、三鷹の犬恐怖症に最後まで気付かなかったり、五代の「響子さんの作ったみそ汁が飲みたい」という遠回しの求婚を文字通りに解し、味噌汁を用意するなど、天然ぶりを発揮することもしばしばあります。

自分が五代や三鷹に求められている存在だと自覚しています。しかし、両者に対してはっきりした態度を取らず、2人に他の女性の影を感じると嫉妬してしまう一面があります。

特に五代に対しては、女友達から日に何度も電話があるだけで嫉妬し、それに応対している五代の言動を目にするのも耐えられず、それまで管理人室で取り次いでいた黒電話とは別に専用の電話を設けたほどであります。

しかし、雰囲気が高まると自ら五代にキスしようとするような思わせぶりな仕草を見せたり、一刻館の住人の中で五代の帰宅時間だけは曜日ごとに把握して庭先で出迎えるなど、五代に好意を持っていました。

ただ、前述のような理由から直接「好き」と言葉ではなかなか言えませんでした。ようやく言えたのは終盤近く、一刻館の管理人室で五代と結ばれた時に初めて「ずっと前から好きだった」ことを告白したが、作中で響子が五代に対して愛情を直接言葉で表現したのはこの一度きりです。

前夫の惣一郎を亡くしたことは響子の心の奥底で深い傷になっており、五代のプロポーズを受け入れる時も「1日でいいから自分より長生きして…。一人ではもう生きていけそうにないから」とその胸のうちを吐露し、五代も決して響子を一人にしないことを約束しました。

自動車運転免許の所有者であります。しかしペーパードライバーなので人を車に同席させるのは怖いところがあります。アパートのメンテナンスはこまめに行っていて、色々なものを修理するのは得意です。

ヒヨコのエプロン(胸に“PIYO PIYO”の文字と、ヒヨコのイラスト入り。ベースカラーは主に黄色)と、「竹ぼうき」が、響子のトレードマークであり、代名詞的存在となっています。

五代が一刻館から出入りするときは特に、深夜・早朝にかかわらず玄関前を掃除していることが多いです。竹ぼうきで掃く音で響子の機嫌の善し悪しがうかがい知れることも少なくないです。

五代にセクハラを受けた時などに本気で怒り、平手打ちを食らわせたことも数多いです。逆に五代からは、こずえ絡みの件で喧嘩後、屋根の修理をしていた際落ちそうになったものの意地を張り、助けを求めなかったことに対し激怒され頬を張られました。数年後、再びこずえ絡みでいざこざがあり、例によって五代の話を聞かず口汚く罵倒した響子を諌めるために頬を優しく叩かれました。

一の瀬 花枝(いちのせ はなえ)

一の瀬

一刻館1号室の住人です。詮索好きで世話好きのいわゆる典型的なおばさんだが、騒動好き・酒好き・宴会好きの三拍子も加わるという豪快な婦人です。しょっちゅう昼間から酒を飲んでおり、宴会が盛り上がると両手に扇子を持って踊っています。北海道出身です。

高校生の頃から現在と同じ酒樽体型で、高校時代のセーラー服を今でも着ることができ、前述の響子の制服着用から始まったコスプレ宴会でもセーラー服を着て興じていました。

五代と響子の関係を家族のような目で見守りつつも大変面白がり、常に事態を面白くさせようと行動するため、彼女の元凶となった誤解は数知れません。

近所の主婦に誘われ響子とともにテニスクラブに入会したが、仲間内でおしゃべりにいそしむほうが多く、肝心のテニスの練習は皆無に等しくルールも全く把握していないなど、普段からちゃらんぽらんさが目立つ人物だが、年長者であるためか、時に響子や裕作に有効なアドバイスをするなど、いざと言うときは頼れる人物です。

六本木 朱美(ろっぽんぎ あけみ)

六本木

一刻館6号室の住人。同じ町内にある一刻館の面々の行きつけのスナック「茶々丸」に勤務しています。1957年生まれ。一刻館の中ではスケスケのベビードールとパンティーという裸同然とも言える、扇情的な格好で徘徊するが、住人たちは慣れっこになってしまっています。

他にもキャバレー仲間から譲ってもらった看護婦 制服も所有しており、それを着て前述の響子の制服着用から始まったコスプレ宴会に興じたこともあります。

酒好きで種類も銘柄もこだわりなく飲みます。勤務中はもとより勤務外でも客と酒を飲むなどかなりの大酒飲みな性格です。しばしば煙草を吸うこともあります。

言葉遣いは荒いが、時おり響子や五代にずばり本質を突いた一言をかけて、背中を押してやるような姐御肌の世話好きな面もあります。物語終盤では五代と響子を破局寸前まで追い込む騒動の原因ともなるが、その関係の修復にも寄与しています。

最終回で、茶々丸のマスターに求婚され、マスターと婚姻後茶々丸の店舗2階に移り住むようになりました。

響子と五代に関わる人々

三鷹 瞬(みたか しゅん)

三鷹

東京都出身 1955年生まれです。また両親、妹、叔父も笑顔と共に歯が輝きます。容姿端麗、スポーツ万能。一流大学卒。愛車が日産・シルビアです。

響子や一の瀬ら、近隣の住人が多く通うテニスクラブのコーチです。主婦の参加が多いクラスを主に受け持っており、他に女子大にも出向いてコーチをしています。1986年春の時点で31歳です。白い歯が爽やかに輝く笑顔が自信と余裕を表しています。

家賃20万程度の高級マンションに独り暮らし、実家も資産家です。料理の腕前は恋敵の五代もうまいと認めざるを得ないほどです。性格は明るく快活で闊達、社交的で気遣いも細やか、女性にもてるという典型的なライバルキャラです。

自身が資産家の御曹司であること自慢などはしないが、お金では愛は買えないが、お金があった方が愛は潤うとお金があることに対して響子に吐露していました。

女性に対しては特に紳士的で、自然に手を握ったり肩を抱いたりと手馴れており、キザな所作も様になります。響子へのアプローチも実に堂々としていて自信に溢れています。あからさまに響子を特別扱いする時もあるが、老若男女問わず誰に対しても紳士的な対応ができます。

ライバルの五代に対してすら、やや邪険に扱うことはあっても除け者にしたりはせず、五代が風邪をひいた時にはお粥を作るなど面倒見が良いです。響子の過去(夫との死別による失意など)も承知しており、全てを包み込む意思を示しています。響子に対してはほとんど「音無さん」と姓で呼んでいました。

非の打ちどころがない強力な五代の恋敵であるが、響子は三鷹の強引なまでのアプローチに対して穏便にかわそうとすることが多いです。しかし、それに負けじとさらに押してくる三鷹を響子も断り切れず、二人で出掛けることも度々ありました。

響子をスマートにエスコートし大切に扱う誠実さ、時に強引にも見える行動力で自分をただの異性の友人ではなく、何れは恋人として認めさせる自信が三鷹にはありました。

ただ唯一の弱点であり障害とも言えるのが、幼児体験から来る極度の犬恐怖症です。周囲には隠しているが、犬種問わず鳴き声を聞いただけで鳥肌、近付かれるだけで顔色が悪くなり、ひきつけを起こし卒倒寸前になるほどです。

しかしなぜか犬に好かれる傾向があり、擦り寄られることが多いです。響子の愛犬・惣一郎も三鷹を気に入っており、顔を舐め回すほど懐いていています。その姿を見た響子は三鷹の犬恐怖症に気付かずにいました。

物語後半で犬恐怖症のためにひどい誤解を受けた三鷹は、ついに意を決し自ら犬を飼っての特訓をして恐怖症を克服しますが、皮肉なことに自分の愛犬の行動から生じた誤解(明日菜の愛犬と結ばれたこと)が元で響子への想いを諦めざるを得ない状況となりました。

後にその誤解が解けたため、響子に再びアプローチをするのかと五代は警戒していましたが、愛犬の騒動から明日菜と交際・その後結婚となったことにより潔く響子を諦め、五代の恋を応援しました。

明日菜との結婚後も五代や響子との交流は続き、二人を祝福し、励ます言葉をかけるなど成熟した紳士の態度を一貫しています。明日菜との間に双子の女児が生まれており、さらに3人目ももうけています。

一刻館

一刻館

東京近郊の時計坂という町にある木造2階建ての建物で、本作の主な舞台です。この建物には時計塔があり、そこから一刻館という名前がつけられました。建物としては大変古く、床板がよく壊れ白アリが住み着いたりしています。本作のタイトルは、「めぞん」(maison、フランス語で家・住宅・館の意味)+「一刻」の混種語である。

何度も倒壊する危機を迎えたが最終話まで壊れることなく持ちこたえました。一度だけ時計台の鐘が鳴った事があります。全6室の他、管理人室(八畳)、トイレ×2、時計小屋があり、1階は六畳+四畳半、2階は六畳一間であります。

一刻館での主な行事として、一刻館メンバーによる宴会があります。主な宴会場所は五代の部屋である5号室です。入居祝いの場合はその入居者の部屋で、水道修繕祝いの場合は水道前の廊下など様々なお祝い事にかこつけると、そのお祝いに関する場所でやることも多いです。毎年のクリスマスでも、スナック茶々丸で一刻館メンバーなどで行われています。

建物全体が長方形に描写されているにもかかわらず、1階・2階の間取りが大きく異なることや、管理人室にむかう通路の長さと管理人室の大きさとの不均衡など設定上でのアンバランスさが見られます。各部屋の入居者は以下の通りで、名前に数字が入っています。なお、管理人室は0号室とみなします。

管理人室:音無響子→空室→響子→空室→響子→五代、響子、春香
1号室:一の瀬一家
2号室:空室→二階堂望→空室
3号室:空室
4号室:四谷
5号室:五代裕作→空室→五代→空室
6号室:六本木朱美→空室

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