ジャンル: ギャグ漫画、少年漫画
作者: 江川達也
掲載誌: 週刊少年ジャンプ
掲載期間: 1988年49号 – 1992年40号
あらすじ
魔法使いのタルるートと江戸城本丸のダブル主人公が繰り広げるギャグ漫画である。江戸城本丸は勉強・運動ともに得意ではなく、喧嘩も弱くてイジメられっ子であり、その上スケベという、絵に描いたようなダメ小学生です。
ある時、絵本作家の父の部屋にある大魔法百科の魔法陣で偶然にも、魔法使いのタルるートを召喚しました。本丸はタルるートの魔法を悪用してイタズラを繰り返したり騒動を巻き起こしたり、不敵なライバルキャラである原子力と幾度となく対決します。

原子と本丸はいろいろな競技で競争することになります。序盤は原子との勝負が話の中心になっています。本丸は原子との勝負に勝つためにタルるートの魔法で特訓をすることで次第に成長していきます。
ボクシング、相撲、サッカー、水泳等、本丸は気合と根性で辛く厳しい特訓をこなし、遂には南野小学校支配を目論む座剣邪寧蔵を倒すために魔法なしの山籠りの特訓で拳法まで体得し、南野小を守るための大バトルを繰り広げます。
本作品の特徴の紹介
本作品は同じく国民的な人気漫画のドラえもんと構図がよく似ています。本丸はのび太に相当して、邪馬邪馬夫はジャイアンに相当します。両口屋是清はスネ夫にキャラクターがかぶります。魔法使いのタルるートくんはドラえもんと役割が共通しています。ヒロインには河合伊代菜がいてしずかちゃんに相当します。
ドラえもんと本作品の違いは、ドラえもんは1話完結型であるのに対し、タルるートくんは話が進むにつれて、時間が経過していき本丸らのキャラクターは成長していくところがあります。
本丸は最初のころは、精神的に弱くて、タルの魔法に頼るシーンも多く見られますが、話が進むにつれて本丸は実力で原子力に戦いを挑むようになります。その時にタルの魔法は、本丸自身が強くなるために補助として使っています。
本作品のキャラクターはしゃれのような名前を持つ人が多いです。例えばヒロインの河合伊代菜は「可愛いよな」、女友達の伊地川累は「意地が悪い」という風にそれぞれ意味が込められています。

中盤以降は、座剣邪寧蔵らの格闘家が登場して、ドラゴンボールのようなバトル路線になっていきます。作者の江川達也氏の作品に共通することとして、本作品にはエッチなシーンが多いですが、描写は他の同著者の作品に比べてマイルドめです。
主要人物紹介
タルるート

本作の主人公の1人で江戸城本丸によって召喚された少年、魔法幼稚園の生徒にして自称・大魔法使い。左利きです。「ほんとにこまったんが〜」の呪文によって召喚されます。以降は本丸の相棒として行動を共にします。
名前の由来は「足るを知る」です。外見は幼児であるが、生きてきた年数は本丸よりも少し長い程度です。大魔法使いは自称で実際は落ちこぼれです。それゆえに、魔法の有効時間はわずか10分だけです。
非常に無邪気で素直な性格で、明るく人懐っこく、初対面の人間ともすぐに打ち解けることができるが騙されやすいところがあります。幼いためもあるが、基本的に陽気で物事をあまり深く考えず、落ち込んだりマイナスの感情に支配されることも滅多にありません。内面的には幼児そのもので、ママに甘えています。授乳を思い出して女性の胸を吸う癖があります。
幼くて判断力が身についていないので、魔法を相手のために使うことに関して未熟で、相手にせがまれたら誘惑にかられて魔法を使ってしまうところが有ります。
岸麺太郎や無気力のように、タルの魔法の存在を知ったことで結果的に悪い影響を与えてしまった者も少なくありません。しかし彼らが失敗して反省して良くなることもあります。
基本的に他のメンバーに対してタメ口であり誰に対しても対等な態度を取ろうとします。たこ焼きが大好物です。ここの部分はドラえもんがどら焼きが好物であることと被ります。特に松五郎の焼くたこ焼きには目がありません。タルの魔法の存在は最初は気付かれていなくて、話の途中でだんだん周囲に気付かれていくようになります。途中から本丸の学校にも一緒に行くようになります。
知能も幼稚園児程度であります。カバンに様々な魔法アイテムを入れています。この作品における全ての魔法使いに共通していることだが、魔法を使う際に魔法アイテムを使う場合と、道具なしで呪文を唱える場合があります。
魔法幼稚園の仲間としてミモラという女の子とライバーという男の子がいます。ミモラちゃんはタルのことが好きです。ライバーはタルのライバルのような存在でミモラが好きです。
体の大きさを自分で変えることができます。また喧嘩はかなり強いです。何回かタルるートは話の中で姿を消して、再び本丸が辞典を使ってタルを召還することを繰り返しています。
江戸城本丸(えどじょう ほんまる)
この作品のもう一人の主人公。2月3日生まれ。父方の祖母が外国人のクォーターで、青色の髪をしています。父親(将軍之介)が高校生の頃に両親(本丸の父方の祖父母)に勘当されている事から、父方の祖父母には会った事が無い模様です。
タルるートの事を「タル」と呼び、親友となります。基本的には母親に似て、穏やかで、お人よしです。学業は出来が良くなくて、運動神経もあまりよくは無くスケベです。最初の頃はタルの魔法に頼って失敗することが多いです。クラスメイトにいじめられやすくすぐにムキになってしまうことがあります。
原子との勝負では最初のころはタルの魔法のおかげで勝つことが多いですが、だんだん特訓のためにタルの魔法を使うようになって実力で原子に勝つことが多くなってきます。
喧嘩で座剣邪寧蔵に完敗して仲間が被害に遭う事があり、その後1か月間魔法無しの山籠もりの修行に出かけます。修行から帰って、座剣邪と再戦して、相手に勝つと同時に命を落としてしまいます。
タルと魔法の国で活躍して、生き返ることに成功します。魔法の国での特訓で魔法も使えるようになるが、現世に戻ってからは1度しか使用していません。その後は喧嘩では仲間の中で一番強い状態になります。
修行をしてから喧嘩や運動能力は上がりましたが、他の勉強の能力はそのままです。手先も不器用な状態です。注射が大の苦手です。伊代菜のことが大好きだがエッチな妄想をしてしまうことが多いです。タルの魔法でそのことがばれるシーンがあります。
伊知川は意地が悪いところはあるが、全般的にそこまで性格が悪いとは言えないところが有ります。本丸のことが本当は好きですがその表現が少しひねくれています。最後には喧嘩をしないように約束して、最強の男に成長しました。
江本丸恵(えもと まるえ)
本丸がタルの魔法アイテム「性転換ジュース・ホルモンガー」を使って女体化した姿である。髪色は紫色で本丸よりやや長髪。顔立ちはボーイッシュ。
バレーボールの試合で欠員が出て、試合続行が不可能になりかけたときに本丸が女体化して丸恵として出場し、窮地を救いました。心が女に変化して原子を見てドキドキしたり、逆に原子が丸恵を好きになったりしています。
魔法使い
本作における魔法使いたちは、魔法の国の住人たちであり、あの世や精霊界とも繫がりがあります。魔法の本で人間界に召喚された魔法使いたちは召喚者の願いを1つだけ叶えた後、魔法の世界に戻るのが基本であり、「ごきげんよろしゅるる~」の呪文で魔法の国に帰還します。
帰還と同時に召喚者を始め、自身を知る者たちから、魔法使いの記憶は消えてしまうが、記憶が戻るケースもあります。召喚された魔法使いを媒体に人間界を行き来することも可能であるが、召喚された魔法使いが魔法の国に戻ると人間界に滞在できなくなります。
玉みえ
通称たまちゃん。タルが首に飾っている水晶玉。本丸とタルに様々な情報提供や助言をしてくれるが卑怯な行為を許さず、卑怯者には光線で攻撃します。しかも光線は避けても当たるまで出し続けます。ただし、おべっかに弱いため、褒められるとその行為を許してしまうことも多いです。
りあ・キナカーモ

タルるートの姉。年齢は不明だが、大人びており、タルは幼稚園児程度の見た目なことから、年は大きく離れていると思われます。「ちとこまったんが〜」の呪文によって現れます。スカート付き長袖レオタード型の黒服がトレードマークです。
魔法使いとしての能力はかなり高く、有効時間は10日で、一部の魔法は道具がなくても発効可能です。
魔法の有効時間がタルに比べてかなり長いために長時間たってからいつの間にか効果がなくなるような感じです。そのことがトラブルを引き起こす原因になることがあります。本丸の修行には協力的です。りあ姉ちゃんは魔法を状況に合わせて使うのがタルよりも上手です。へそが弱点です。
ミモラ

タルるートの同級生。魔法の幼稚園時代にタルと知り合います。魔法の幼稚園時代の給食に大嫌いな、たこ焼が出て困り果てている時に、タルが担任の先生が見ていない隙をついて給食を食べてしまいます。単なる盗み食いなのだが、「助けるために食べてくれた」と勘違いし、この一件でタルるートに恋愛感情を抱くようになります。
その後もたこ焼きは大嫌いなままです。魔法の有効期間は30分。「ほんとにもんが~」の呪文によって現れます。
言葉遣いはいつも丁寧語で、一見礼儀正しい性格のように思えるが実際は泣き虫な上に短気で我儘な性格であり、強引な行動が多いです。また、勘違いが多く思い込みなども多いが、あまり周りの意見に耳を傾けることはありません。
何かショックなことがあったり、不満なことが起こると大泣きしながら暴れ回るか、気に入らない対象人物に「あんまりですわ〜」と叫びながらパンチを食らわせます。食らった者は、吹っ飛んで地球を1周するほどの威力を持ちます。ミモラはタルが好きですが、タルはミモラが好きということはありません。
ライバーに、しばしばアプローチされているが、彼にはまるで関心がないようであり、彼と関わることには消極的です。大泣きして大暴れした時のみならず、大笑いした時にも地響きが起こり、本丸の家が倒壊しました。
伊知川が呪文で呼び出した縁で伊知川家に居候することになります。伊知川の策略に嵌り彼女にいいように利用されているが、そのことに気付いていません。おねしょをして伊知川にからかわれ、それを魔法で彼女に転嫁したことがあります。
ライバー

タルるートのライバル。初登場時は「垂野頼春(たるの らいばる)」という人間の姿をして、南野小に転校生として現れました。「ゴメンガー」の呪文によって現れます。魔法の有効時間は不明だが、タルやミモラの魔法が通じなかった描写もあるなど魔法使いとしての実力は高く、得意とする光線(技の名前はライ)は町中を崩壊させるだけの威力があります。
ただし、りあには頭が上がらず「さん」付けで呼んでいて言うことを聞いたことがある。魔法の幼稚園時代に同じクラスだったミモラに溺愛しており、ミモラが溺愛しているタルを、恋敵として一方的にライバル視しているが、タルがライバーをライバル視している描写は特にありません。
ミモラはライバーに好意すらもっておらず、煙たがっています。全く空気を読めない事に加え、相手の心情を読む能力は致命的なレベルです。自分が相手に好かれようと魔法を使ったりしますがほとんど失敗しています。
大綾先生が呪文で呼び出した縁で大綾先生のマンションに居候することになります。前述のように、魔法使いは「呼び出した相手の願いを一つ聞く」というのが決まりの様で、「その野蛮で暴力的な生き方を辞めなさい」という願いで、根性を叩き直すため、掃除や早朝マラソンなどを嫌々こなしています。
タルに嫉妬しやすく、ライバーがミモラの気を引くためにいろいろ行動しても、それがミモラがタルのことが好きになる事に結びついたりして、いっそうタルが気に入らなくなっています。
にるる
タルるートを慕う生物です。尻尾を握られるとその時に見ていた人や物そっくりな姿に変身します。ただし目的の人・物に化けさせるためには、実物を見せる必要があります。しかし、必ず成功するわけではなく失敗も多く本丸の思い通りにいかないパターンが多いです。
マハラパー
魔法の国で最強クラスの大魔法使いです。魔法の有効期間は365日と非常に強いです。決して悪党ではないが、非常に女好きで、本当は男と知りながらも江本丸恵に近づこうともくろみ、様々なトラブルを引き起こします。
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