作者: 宮下あきら
出版社: 集英社
掲載誌: 週刊少年ジャンプ
発表号: 1985年22号 – 1991年35号
あらすじ
行き場の無くなった不良少年たちを全国から集め、過激なスパルタ教育を施す男塾。そこに籍を置く塾生たちの根性や友情、死闘を描く物語。初期は軍国主義テイストのギャグ漫画であったが、途中から信念を掛けての上級生との決闘、ライバル学校との抗争、闇の世界で繰り広げられる格闘トーナメントなど、バトル中心の展開へとシフトしている。

登場人物のほとんどが中国拳法やインド・エジプトなどに伝わる様々な武術の達人とされ、物語中期には15人以上におよぶ主要人物に満遍なく見せ場が与えられている。また闘いの舞台には様々な仕掛け、特殊な決闘方法を用いたものが大半であり、各々がトリッキーな秘技を駆使することにより、バリエーション豊かな死闘が繰り広げられる。本作品は物語の途中で死んだはずの仲間が、再登場するケースが多いです。
学校制度
男塾とは、創立300年以上の歴史を持つ東京都にある全寮制の私塾です。全国の不良少年たちを集めて鍛え上げ、次世代のリーダーを育てていくことを教育目標としています。作中では、塾長の江田島平八および剣桃太郎が女人禁制と言っているが、過去に一人だけ女子生徒がいたため、女子に入学資格が無いわけではありません。校長は塾長、教員は教官、生徒を塾生と呼んでいます。塾生の学年は、海軍兵学校同様に、○号生と称しています。

授業カリキュラムは独自色が強く、戦前の軍国主義を彷彿とさせる過激なスパルタ教育が一番の特徴であり、中にはギロチンや毒薬など生徒が死にかねない授業もあり、敷地内には在学中に亡くなった生徒の墓や慰霊碑が多数存在しています。また、国語や数学、英語といった一般教養についても、内容は小学生レベルだが一応存在しています。
学校内の規則に於いても普通の学校には見られない独自の規則があり、軍歌、君が代および塾歌以外の歌を歌うことは禁止、下着はふんどし以外厳禁など厳しい規則があります。ただしファッションやメイクに関しては自由なようで、サングラスやピアスの着用や染髪も問題視されていません。特に髪型については全く規制が無いようで、長髪、角刈り、リーゼント、パンチパーマ、モヒカン刈りなどの髪型の塾生が多く登場します。
また、塾長によると、授業料をきちんと納めている塾生は一人もいないことや、後述の男塾名物による損害賠償も発生しかねない状況であることから、男塾の経営はいつも赤字状態とされています。しかし塾長や教官らによる強制的な授業料の取り立ては行われていません。その代わりに、過激な見世物をたまに開催し、一般人から見物料を集めることがあります。
塾生である以上教官の命令は絶対服従と詠っているが、塾生側から教官へ質問をしたりアドバイスを要求することは認められています。また、塾生間では絶対的な封建主義のもと、厳しい上下関係があり、その厳しさは三号生、二号生が何かしらの理由で一号生を殺害しても問題視されていないほか、教官側も生徒間の揉め事に対しては「男は生死を賭けた戦いの中で磨かれていく」という方針から介入しようとはしないため、塾長自身も「生きて男塾を卒業できるかは度胸と運次第」と公言しています。ただし、逆に下級生が上級生へ反逆を起こしたり、度の過ぎた行動を取った場合は教官が介入し、何かしらの処分が下されることもあります。
三号生に対しては実質的に教官たちでも手を出すことができず、指示を出せるのは塾長のみです。三号生は、天動宮を拠点にして活動しており、遠征と称して日本各地で抗争を繰り広げています。
男塾で行われている催しものには、観客が多く訪れています。また、倉庫には戦車や震電、大砲などが眠っており、有事の際に塾長が持ち出すことがあります。
男塾名物
世間一般の学校行事や特別授業にあたるものだが、その中身は、古今東西の拷問や決闘法を用いたものである。入塾前の秀麻呂が油風呂について知っていたことから、外部に情報が伝えられているものもある。
主な名物
直進行軍(ちょくしんこうぐん)

棒を倒し、倒れた方角に向かってひたすら直進するものです。例え障害物があっても迂回することは許されず、時には家屋の壁を破壊したり、電柱を登る、下水路を進む、告別式の会場を破壊するなど、徹底して直進します。特例として教官が指定一名を除いて迂回して良いとしたり、教官が行軍をこれまでと宣言すれば終了となります。
油風呂(あぶらぶろ)

油を満たしたタライを火にかけ、その中に入り、笹舟に浮かべた蝋燭が消えるまで浸かるというもの。熱さを我慢できずにうかつに動くことは、蝋燭が乗った笹舟を倒し油に引火することになるため、極限の根性が要求されます。飛行帽が言うには富樫が成功するまでには、男塾で成し遂げたものは五人といませんでした。
剣山地獄腕立て伏せ(けんざんじごくうでたてふせ)

腹の下に剣山を敷き、背中に石板を乗せた状態で腕立て伏せを数百回行います。目の前にバーナーを置いた状態で背筋を行います。鬼ヒゲがスイッチを押すことでバーナーから火が吹く仕組みになっており、体を反らすタイミングが遅れると顔が丸焼けになります。
竹林剣相撲(ちくりんけんずもう)

周囲を剣山で囲まれた土俵で行われる荒相撲です。西太后が奴隷に取らせていたといわれます。男根寮寮長である権田馬之助によって執り行われた際に男塾男根寮名物と語られているが、江田島によって毎朝行われる授業内容決定の儀式・奉弓の儀のメニューにもその名が見受けられます。
魍魎サバイバル(もうりょうサバイバル)
各班五名ずつで夜のサファリパークに侵入し、猛獣共が放し飼いにされる中で一夜を明かすという遠足です。合同リクリエーションという名目で二号生によって引率されます。
義呂珍(ぎろちん)
刃を結びつけたロープを処刑者自らの口にくわえさせるギロチン。赤石が江戸川と富樫の二名に対して実行し、これを阻害した桃と赤石の間に因縁が発生したことから殺シアムでの対決へと発展しました。
殺シアム(コロシアム)
古代ローマ時代のコロッセオを思わせる真剣勝負。江田島は、桃vs赤石を一般公開して得た興行収入を男塾の運営資金に充てました。
大海島巡り(たいかいしまめぐり)
赤鬼島・青鬼島・金鬼島と呼ばれる三つの離れ小島を巡る夏期合宿です。それぞれの島にある海の家には三海魔王と呼ばれる三人のシゴキの鬼たちが待ち構えています。
地獄禅(じごくぜん)

頭に硫酸の注がれたティーカップを載せて行われる座禅です。各塾生の首は一本の綱で結ばれており、一人の落ち度次第で全員が硫酸を被る危険に晒されます。
撲針愚(ボクシング)

スパイクのついた金属製グローブをはめて行われるボクシングだが、パンチ以外でも足や頭を使っても構いません。海外では「ピカレスクマッチ」の名で知られ、暴君ネロが考案したとされています。
愕怨祭(がくえんさい)
毎年秋に開催される、校庭所狭しと繰り広げられる狂気と根性の祭典です。普段孤立閉鎖的である男塾と一般市民との間に、理解と親睦を深めるために校内を公開する年に一度の日です。殺シアム同様、刺激を求める一般市民で賑わいます。教官たちの小遣い稼ぎのために、恵まれない人への寄付金集めと偽って開催されるが、終了後に彼らの私利私欲が目的だったことが発覚し一号生たちから袋叩きにあいます。
羅惧美偉(ラグビー)

ゲーム形式はラグビーだが、両軍共に毒薬を飲み、トライしたチームが解毒剤を飲むことができるというもの。乱闘・武器使用が認められており、その危険性から、開催するにあたっては塾長の許可が必要となります。なお、飲まされた毒薬は試合終了後に痺れ薬であったことが教官たちから明かされます。
獄悔房連(ごくかいぼうれん)
校舎地下一階に位置する房で、各室毎に色々な仕掛けが施してあります。何らかの罪を犯した塾生が罰として禁固されるが、食事だけは差し入れられます。虎丸が入れられた房は200kgの吊り天井が下がっており、四六時中支え続けなければ潰されてしまいます。
大鐘音(だいしょうおん)

一号生総員による大応援で、富士をも揺るがす魂の叫びです。戦国時代に武田信玄が上杉謙信との合戦において、苦戦に陥っている遠方の味方の兵を励ますために自陣の一千騎の兵を並べ一斉に大声を出させ檄を送ったという故事に由来します。その距離はおよそ二十五里(100km)だったといわれます。一号生たちが最初にエールをきった際は20km離れた富士山五合目まで届きました。
盥支蠟(かんしろう)
頭上になみなみと油の入ったタライを持ち上げる罰です。タライの上には極めて不安定な木端に乗せた蠟燭を浮かべてあり、微動でもすれば蠟燭は倒れ火ダルマは必定です。
祈願大凧(きがんおおだこ)
大威????八連制覇においてJの士気を高めるべく秀麻呂が凧に乗ることを志願し、一号生全員で引き上げるが、凧が風に乗らず壁に衝突ばかり繰り返します。田沢の計算によって松尾と二人で凧の羽根代わりとなって掴まることで宙に舞うことに成功するが、祈願大凧の重量と風圧の影響で凧糸は長く保てません。
イナバの白ウサギ(イナバのしろウサギ)
古代の神話をもとに、車の流れの絶えない道路を走り抜けます。もちろん、成功率は低く毎回多数の死傷者が報告されています。
閻炎油棒斃死(えんろうぼうたおし)
灯油を満たした盆に、高麗竹で作られたたいまつを立てそれを先に倒した方の勝利です。攻撃と防御に分かれて戦います。たいまつを倒された場合、守っている者は丸焦げになります。
断煩鈴(だんぼんりん)
かつて中国の仏教僧が行っていた精神修行法であり、己のイチモツに鈴をつけられた状態で女性のヌード写真を見せられます。もしも勃起し鈴がなれば、煩悩に負けたとみなされ精神注入棒で煩悩を叩き直されます。
驚邏大四凶殺
(きょうらだいよんきょうさつ)

男塾最大名物。四人一組で二チームが争うものです。千年の歴史を持つ由緒ある寺院・富士山麓宝獄院を起点に無数の白骨死体が眠る暗魎洞を抜け、砲魂玉と呼ばれる巨大な鉄球に足枷で繋がれ、それを転がしながら富士山の山頂を目指します。途中のチェックポイントで各チーム1名ずつ代表者を選び戦うことになります。最終的に生存者が存在する側が勝利であり、覇者には勝彰巻という巻物が贈られます。
江田島こそが過去三百年唯一の生存者であり、五十年前の昭和25年(1950年)にこれに挑み大成就を遂げ、その証が江田島の右腕に刺青として刻まれています。塾の敷地内には命を落とした者の慰霊碑が建てられています。
大威????八連制覇

男塾名物と明記されてはいないが、男塾において三年に一度開催される武術大会です。中国四川省の八連返天竜の伝説に因み八人対八人で闘う団体戦で、信州長野・海抜二千m八ヶ岳連峰に位置する八竜の長城を舞台に行われます。大威????八連制覇を制するものは男塾をも制する、男塾最大の修羅業行です。
前回優勝チームが対戦チームを指名できるようになっており、邪鬼は十年に渡りこの大会を己の権力保持のために利用しました。灼赤棒の儀式により戦いは成立し、臆してこれを受け取らねばその場で敗北が決定します。
なお、八対八とされているが実際には二対二のタッグマッチであり、託生石の儀式によりその組み合わせが決定されます。ただし参加者側の申告により任意でメンバー変更が可能です。
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