ジャンル: 少年漫画・学園漫画・ギャグ漫画
作者: 佐藤正
出版社: 集英社
掲載誌: 週刊少年ジャンプ
掲載期間: 1987年23号 – 1991年34号
内容
本作品は“お兄さん”こと主人公ケンイチと、その周りの人々の非常識な日常を描いたドタバタギャグ漫画であり、学園でのイベント、また中期以降は宇宙人の襲来といった格闘ギャグ路線へと発展します。終盤では格闘要素を排除し、ショートコント風のシリーズなども取り入れています。作中では「動物語」というシステムが存在し、動物(哺乳類と鳥類)やケンイチなど一部の人間が使うことができる。動物語を話す時は吹き出しの線が二重になっています。

本作は暴力・破壊描写をはじめ、金属バットで殴打、大量出血、違法行為や殺意を込めた心情描写、身体の一部(耳や指)を切り落とされたり、主人公のせいで半身不随になるキャラクターが出てくるなど、過激なギャグ表現が多いです。
あらすじ
国宝 憲一は幼い頃、父親の憲吉の不注意から川に流され、山で行方不明になってしまいます。しかし、山に住む玄米茶に拾われた憲一は野生児としてたくましく成長します。そして本当の家族と街への憧れから憲一は下山し、程なく本当の家族と再会します。しかし憲一には都会の知識や常識がまるでなく、本人の人間離れした身体能力もあいまって、普通ではないトラブルに満ちた日常が繰り広げられました。
舞台は東京都に存在するとされる架空の市、「是羽市」(これわし)。第一部の中学生編では「是羽市立第二中学校(是羽二中)」、それ以降は「是羽市立第二高等学校」が主な舞台です。
主要登場人物
国宝家
国宝 憲一(こくほう けんいち / お兄さん)

主人公です。玄米茶流空手の使い手。年齢は原作開始時15歳。1974年の夏に山で行方不明になり、13年間山の中で育ったために都会の常識は何一つ知りません。そのため、山を降りてからは毎回様々なトラブルを巻き起こします。野生児だけあって、身体能力が異常に高く陸上競技なら全種目で金メダルを狙えるほどであり、作中ではソウルオリンピックの日本代表として招聘され出場しました。しかし、唯一水泳だけは苦手です。身長188cm、体重110kg。
今まで学校で勉強したことが無いため、妹である雪絵と同じ学年に編入します。勉強はまったく出来ず、無理に勉強すると頭の回路がショートしてスパークしたり、爆発します。動物と会話ができるなど、動植物に関する知識は豊富です。
一人称は「おにーさん」で、語尾に「 – のだ」をつけます。年上の人が相手でもあまり態度が変わりません。また、「あう!」が口癖です。普段は空手着姿で、下着はふんどしです。泳ぐ時もふんどし一枚です。当初は身長は高かったが、連載が進むにつれ2 – 3頭身になり、連載終盤では頭が禿げたり教室で寝小便を漏らしたりとキャラクターの変貌が著しくなります。
「クルクル波(パー)」などの技を持ちます。また、敵から攻撃を受け続け、極限状態に追い込まれると「目にあまるほど防衛現象」として白目をむき、普段の数倍のパワーを発揮します。動物に関することで負けるのは非常に悔しいらしく、勝つためなら残酷なことでも平気で行います。部屋は非常に汚く、ポキール星人から資源(地球人から見たゴミ)と認識されてしまうほどです。
自宅から学校までの距離は不明だが、雪絵とはほとんど一緒に登校せず走って通っており、遅刻することが多いです。連載初期の頃にはもらった宝くじが大当たりするなど強運の持ち主だったが、後期には運が悪いような話も出てきたことがあり、運の良し悪しについては一貫していません。作者の佐藤曰く、連載前の考案当初は女性キャラクターで、顔のモデルは工藤夕貴。
国宝 雪絵(こくほう ゆきえ)
本作品のヒロイン。年齢は原作開始時14歳。憲一の妹で、他界した雪子に代わり国宝家の家計や家事をこなすしっかり者です。真面目な性格で、学校の成績も優秀です。お人好しでルックスも可愛いので男子生徒達のマドンナ的存在です。憲一の奇行に対してツッコミを入れる常識人だが、新聞を読んだことがないので世間の流行などを何も知らず、非常識な行動をとることもしばしばあります。
アイドルデビューも果たしたことがあるが、憲一と憲吉が原因で引退を余儀なくされてしまいます。1973年6月19日生まれ。身長150cm(本人は151cmと主張している)で、背が低いのを少し気にしています。憲一よりも1歳以上は年下だが、学校では同じ学年。家庭は貧乏だがかなりの衣装持ちでファッションセンスも良いです。中学時代はバトン部に所属しています。髪色はピンク色。
国宝 憲吉(こくほう けんきち / 父ちゃん)

国宝家の主。年齢は原作開始時45歳。職業は植木職人。憲一と生き別れになる前の若い頃の容姿はスマートな長身でパーマをかけた髪型だったが、月日を経て再会した時にはチビでハゲでケチでカネとギャンブルに目がないダメオヤジに変貌していました。人間性に問題があり、常人の30倍は悪事を働いており改善の見込みがないと閻魔大王に断言されました。とてつもなく強欲で、自分の欲望を満たすためにはどんな非道なことでも平気で行います。
特に金に対する執着はすさまじく、いつも茶の間でこめかみに青筋を立てながら 「マネー」などと書かれた金儲けの本を読んでいる。学生時代はコソドロなど様々な悪事を働いており、宝石しげるからそのことをネタに好き放題されても黙っていたが、家族にそのことを打ち明けたら殺人くらいやっているんじゃないかと思われていて逆に安心される始末です。
常日頃から、憲一のゲームソフトを勝手に売り払ったり、雪絵からタバコ代の名目で金をちょろまかしたりするなどせこい行動を取ることが多いです。憲一とは常にいさかいが絶えず、毎日のようにくだらないことでケンカばかりしています。実の息子といえど容赦はせず、どこからともなく取り出した金棒や金属バットなどでタコ殴りにすることもあります。「ぐれてやるー!」が口癖です。
玄米 茶(げんまい ちゃ / じいちゃん)

憲一の育ての親で玄米茶流空手の達人。一見ガリガリな体型でつかみ所のない性格だが、憲一以上のパワーを持っています。単体でも強いが、玄米茶流空手にはコンビネーションも存在し、憲一と息を合わせて行う合体技の威力は絶大です。かえでの面倒を見て欲しいと国宝家に現れるもスライム状態で生存し、さらにこの状態でインビジブル・ブルーブルに襲い掛かって結果的に耐熱プロテクターから追い出すなど、人外レベルの活躍を見せました。
フリッパー

山から連れてきた憲一の友達のオオカミ。国宝家にペットとして住んでいます。体格は細身で大きくはないが、街の不良犬数匹程度なら簡単に倒せるくらいの強さはあります。方向音痴。連載中期以降は出番が激減し、ストーリーに絡むことはほとんど無くなりました。月に1度、チャッピーと遊ばせるために綾小路家に足を運んでいます。
友人
火堂 害(ひどう がい)

ヤクザである火堂組の跡取りで、3代目組長になる予定の不良生徒。何度か留年しているらしく年齢不詳。自己中心的な性格で憲一とは強引にマブダチになる。雪絵に恋心を抱いている。雪絵の言うことには素直に従うが、さゆりに対しては強気です。般若のような顔で常に口を開いています。鮫肌。肩から背中にかけて刺青をしている。身長192cm、体重129kg。
当初は不良集団を軽々と一蹴するなど、戦闘能力が高い描写もあったが、憲一と比べると実力は低く、またそれ以降に登場した強敵キャラクターには手も足も出ないことも多いなど、早い段階で戦力外になりました。父は2代目組長、火堂 激。
綾小路 さゆり(あやのこうじ さゆり)
雪絵の親友。可愛いがお調子者でややわがままな性格。ツッコミ役の一人。金持ちのお嬢様で、親は外車を持ち、自宅には執事やコックがいます。火堂に片想いしているが、作品中では特に進展することはありませんでした。雪絵と同じく中学ではバトン部です。いとこにモヒカン頭の凶悪な赤ん坊・綾小路 みちるがいます。チャッピーという犬を飼っています。身長160cm。暴走する憲一に容赦なくブレーキをかける数少ない人物です。髪色は緑です。
ロッキー 羽田(ロッキー はだ)

日本人とフィリピン人とのハーフ。アメリカにかぶれていて、常に派手な服を着ています。「自由」がポリシーで「 – じゃない」が口癖です。火堂と同じく雪絵に恋心を抱いています。かつては仕事人(用心棒)をしており、1秒間に50発放てる閃光パンチ「スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー」が必殺技です。仕事人としての初登場後、しばらくして是羽一中から是羽二中に転校します。
ストーリー中盤からは登場回数が極端に減り、読者からはよく復活を希望されていました。ムエタイのキックも習得しており、過去に決闘の相手に瀕死の重傷を負わせたことから封印していました。アパート「是賀荘」に一人暮らしで、部屋では憧れの雪絵の写真に囲まれ自由を満喫しているものの、極貧生活を送っています(両親が離婚して父親が蒸発、母親からの仕送りは月3万)。
教師
小山内 文子(おさない あやこ)
中学時代の担任。年齢は20代半ばだがとてもそうは思えないほどの無邪気な思考を持っています。おっとりとした優しい性格で生徒には舐められつつも慕われている存在であるが、ペアマラソン大会では体調不良を装い酢張丹におんぶしてもらうなどちゃっかりした面もあります。チャッピーの元の飼い主です。憲一らの中学卒業後も中学に残り、憲二の担任となりました。憲一たちが卒業した後は何もかもやりやすくなったと、憲一達が在籍していた時とは違い穏やかな教師生活を送っている様子だったが、若い安生先生に対抗意識を燃やすなど以前より過激な面も見られました。
是津(ぜつ)校長
是羽二中の校長。常にくわえているキセルがトレードマーク。体育祭において大がかりな障害を設置し障害競走を行わせたり、憲一と管の決闘のために特設リングを設置したりと、イベントがあると首を突っ込んでくる相当な好事家です。基本的に生徒の安全より楽しいこと優先のため、校長の関わるイベント参加者には常に命の危険が訪れます。
酢張丹 悦楠(すぱるたん えっくす)
是津が憲一の風紀更生のために招いた教師。眉と口がX字の形状をしています。気にいらない奴には体罰も辞さない超スパルタ教育を信条としています。初登場時は小山内に替わり担任となるが、憲一の大暴れにより以後は副担任となります。全教科の教員資格を持ち、受験の補習にも対応できます。憲一を敵視しており、初登場の回では難癖を付けまくった挙句、中学校にも関わらず退学決定にしたりと過激さを遺憾なく見せつけました。
その後も幾度となく争うが大体がロクな結果になりません。またその体罰主義で他の生徒にも恨みを買っており、豆まきの鬼になった時は命がけの戦いを生徒と繰り広げていた他、卒業式にはお礼まいりで車をボコボコにされています。小山内に惚れているが、不器用なのでそれを表現できないでいます。だがその後の中学卒業後に憲一達と再会した際、安生を見つめる酢張丹に小山内が嫉妬の目を向けるシーンがあり、関係は進展している模様です。
憲一達が卒業した後は特に問題児もいないらしく、穏やかに過ごしているようだが物足りなさも感じていたようで、再開後小山内と安生の対抗心から端を発したバス競争では、運転手からハンドルを奪い久々の対決に血をたぎらせていました。祭九論絶人(さいくろん ぜっと)という親友がいます。
安生 美加子(あんじょう みかこ)
高校最初の担任。初登場時は23歳。高校の校長の要望により小学校教師からスカウトしてきました。「ミスいちご大福」に選ばれたこともある美女です。性格はかなりの慌て者で早見先生からも言われるくらいそそっかしい行動が目立ちます。ケンイチ達が巻き起こす事件で入院することが多かったです。スキー合宿や臨海学校では宿の手配などをするが、どれもボロ宿で生徒からは評判がよくありません。船木登場により人手不足の3年の担任となり、2年3組の副担任も兼任することになります。
早見 姿郎(はやみ しろう)

高校での副担任。初登場時25歳。自転車の整備不良によるダンプとの衝突事故により半身不随となる重傷を負うが、文部省がプロフェッサーKの研究所に依頼し、問題児矯正のために600万円かけて改造人間にし、無理矢理蘇らせました。全国の問題児代表の憲一を矯正するためやってきました。ケンイチの体当たりを受け止めるほどの強靭なボディと改造人間のパワーで生徒たちを圧倒します。
反面、脳の手術がやや失敗しており時折昔のことを思い出して絶叫します。変身ベルトで「怪傑スパット」というヒーローに変身できます。専門は保健体育らしく、それ以外の授業をしているシーンはありません。安生にべた惚れしており何度か告白もしているが間の悪さでいつも失敗しています。
初登場時は熱血教師らしさを持っていたが、回を重ねる毎に卑劣な面が目立ち教師らしくない行為を繰り返すようになります。犬が苦手で小学校時代には盗みも犯しています。改造手術の執刀はプロフェッサーKです。
ひらめ筋、ひざの皿などは人工物に置換されており、ほぼ全身が改造されているが、睾丸はそのまま残されています。エネルギーは人間と同様の食事を取ることによって補給している模様です。主武器は両腕から発射するロケットパンチです。両足からのジェット噴射で飛行することも可能です。変身ベルトでよりパワーアップした変身も可能です。ボディの強度は宇宙空母の主兵装「超ウルトラマグナムカノン波動フェーザー砲」で撃たれても消失を免れるほど強靭です。後に憲一のパワーに対抗するためロボットのような姿に改造したが、惚れていた安生に手ひどく嫌われたことから元の姿に再改造しました。
動物
ダック・ニコルソン

綾小路家に食肉用として送られたアヒルであったが、庭の檻に閉じ込められていた所をたまたま遊びに来ていたケンイチに助けられます。さらに、復讐のつもりで家を滅茶苦茶にしたところをさゆりによって囚われたが、調理前の電子レンジから脱出に成功し日本にただ一羽の「野良アヒル」となりました。以降憲一の悪友となり、毎回憲一にろくでもないことを教えたり、プロフェッサーKの研究所からトラブルの元になる発明品を持ってきたりするトラブルメーカーとなります。
「野良アヒル」といっても実態はホームレスであり、寒い冬は焚き火や新聞紙やダンボールで暖を採り、競馬などの賭博に耽り、ビールとスルメを好物とし、街の浮浪者と共に公園で暮しています。浮浪者からは「ギャワギャワの大将」と呼ばれています。天敵は街の子供達です。くちばしに超合金製の棘付きアタッチメントを装着し、キツツキのように高速で相手の股間や目を突く「アイアンダック速射砲」という必殺技を持っています。ドナルドダック風のセーラー服(国宝家がクイズで手に入れた賞金を奪って購入)とサングラスがトレードマークです。
侵略者
ポキール星人

地球人とほぼ逆の価値観を持つ(主として衛生観念、美的感覚など強弱の概念も反転している)宇宙人。自称「宇宙のエリート」、他称「宇宙のクズ」。ポキール大王を君主とする惑星国家を築いています。地球のゴミを資源として尊び、犬のフンを食べて「うまい!」と評します。侵略者として地球に来襲した際も恥知らずな要求を平気で行い、卑猥な拷問を公開する、就寝中の寝言や人に付けるニックネームも下ネタ単語の羅列と、下品極まりないです。苦手な物は消毒(ポキール星人にとっては最も苛烈な拷問とされる)で、気持ちいいと倒れてしまうという性質を持ちます。
価値観が逆であるため、戦闘力は非常に弱体です。ただし放屁のような手段で睡眠ガスを発射するなど、戦闘を支援する能力に関しては有効なものも持ち合わせています。また500階以上の階層を持つ高層ビルを建設し、戦闘ロボット・インモーキング(量産型、Mk-II、Mk-III等のバリエーションがある)や宇宙船、体の大きさを変えられる乗り物を建造するなど、科学技術力は地球人をはるかに上回っています。
初登場時は大王の配下であるM1号、P3号の2人が、東北弁を話す宇宙の片田舎出身の友好的な宇宙人を装い地球侵略を狙うもあっさり敗北します。翌年再登場し、ケンイチ・父ちゃんをポキール星に連れ去り、大王のもとで食糧(ウンコ)供給源として拘束しようとするも、戦いに敗れて自爆します。
この直後ビデー大帝に救われて超暗黒大巨星帝国の手下となり、その地球侵略の尖兵として地球に来襲します。が、その性質と弱さは変わらず、破壊兵器として量産された戦闘ロボット・インモーキングII&III部隊は壊滅、宇宙空母も大破させられたが、対ケンイチ用に用意した猛獣のうちポキリアンデビルとポキールパンダを大帝の援護に差し向け、その容姿で地球人を笑わせて足止めに成功、囮役を果たしました。しかしビデー大帝敗北後は地球に取り残され、汲み取り業、何でも屋などで生計を立てるが、収入は少なく飢餓に苦しめられます。
地球侵略は失敗したが、ミッキー総統、死神マックなどの侵略者との戦いには、ケンイチ達の味方として多数の武器を提供し少なからず貢献しました。本キャラクタ―は準メインとして比較的よく登場しています。
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