ジャンル: 不良・学園・ギャグコメディ
格闘漫画、少年漫画
作者: 森田まさのり
出版社: 集英社
掲載誌: 週刊少年ジャンプ
発表号: 1988年25号 – 1997年10号
概要
東京都武蔵野市の吉祥寺にある帝拳高校周辺を主な舞台とした、ヤンキー達による学園モノ漫画である。ギャグを所々にちりばめた短編と、他校の強敵とのバトルがメインの長編ストーリーの組み合わせによって構成されており、ボクシングも重要なテーマのひとつになっています。
「何やってんだおまえわ!」や、「そうぢゃねえ!」といった独特のセリフ表記や、キャラクターの独特のポーズ・表情・リアクションも本作の特徴の一つです。

1980年代後半から1990年代半ばを描写しているので、作中に登場する高校生(特に女子高生)のファッションが、年を追うごとに徐々に変化しています。初期は膝下スカートに三つ折ソックスだったものが、後期にはミニスカートにルーズソックスになっています。登場人物の名前はボクサーやプロレスラーなど格闘家にちなんだものが多く、また高校の名前は実在するボクシングジムから取られているものが多いです(帝拳、協栄、角海老など)。
主要登場人物
主人公
前田太尊(まえだ たいそん)

本作の主人公。一年生の時、ボクシング部と応援団との抗争を腕っ節と男気で治め帝拳高校の実質的な番長となったが、そういう類の地位には全く興味を持っていない。東京四天王の一人に数えられるほどのケンカの強さを持つが、その力をもって周囲に権力を誇示したりはせず、男気に溢れ仲間を大切にするため信望も厚いです。
しかし、「負けない」事に対するプライドは誰よりも強く、売られた喧嘩は全て買う上に、一度負けた相手にも負けを認めず自ら喧嘩を売ります。初期は軽い癖毛のリーゼントだったが、だんだんとひさしが短くなっていきます。怒ると標準語を忘れてろれつが回らなくなり、完全にキレると関西弁になります。
標準語は東京での暮らしに合わせたもので、本来の言葉遣いは関西弁であり、修学旅行などで大阪に行き、旧友と会った時は普通に関西弁で会話しています。凄まじいほど単純な性格で、感動的な話にはとことん弱く涙もろいです。
エロネタになると赤面したあげく気絶するなど非常に純情です。どこか抜けており、変なところで小心です。スポーツテスト以来禁煙するが、以降も時折は吸っています。学業成績は最悪で、試験の度にほぼ全ての科目で赤点を取り、英語4点など一桁台の点数を取ることも珍しくありません。
ただし、授業中はいつも寝ているが出席状況が悪いわけではなく、いわゆる授業のサボりなどはほとんどしません。また、度重なるケンカや初期の喫煙など素行の悪さはあるものの、普段の気性や生活態度そのものが荒れているわけではないため、教師や生徒にも彼を本気で怖れている者は少ないです。
大阪府出身で実家は尚輪寺という寺。次男であり本来寺の跡継ぎになる立場ではないが、長男・富士雄がグレたため跡継ぎとなるべく父によって「尊」の一字をつけられ太尊と命名されます。ボクシング世界チャンピオンを目指して中学生の時に上京、富士雄のマンションに居候しつつボクシングジムに通っています。得意技はアッパーカット、スクリューフック、ライトクロス(ストレートとスクリューフックを用いる2種類がある)のボクシング技です。

その一方でバックドロップやローリングソバット、垂直落下式ブレーンバスターなどのプロレス技も得意としています。愛車のスクーターには「チャベス号」「レナード号」などと、尊敬するボクサーの名前を付けています。卒業後はプロボクサーになり世界6階級制覇を狙う。原田との対戦時点では16戦16勝15KO、うち1ラウンドKOが10と驚異的な戦績を残しています。
女子の髪型の好みはポニーテールに大きな白いリボンで、制服の好みはセーラー服です。女子の制服のデザインで帝拳高校入学を決めました。千秋とは中盤で互いの想いを伝え合うが、それ以降も友達以上からあまり進展せず、終盤にやっと改めて交際を申し込みます。女生徒からの人気は高く、バレンタイン・デーにはチョコレートを貰っていました。音楽の嗜好はローリング・ストーンズ。自分に来たエアメールがミック・ジャガーから来たものだと思い込んでいました。名前の由来はマイク・タイソンと前田日明。
親友
山下勝嗣(やました かつじ)

太尊の中学時代からの親友。パンチパーマ。額が広く、それを指摘されるとキレます。米示と中学の頃にヤクザの弟に絡んで袋叩きにし、そのヤクザに報復されそうになった時に太尊に助けられ、その男気に惚れ込み、以来行動を共にするようになりました。バイク屋の息子で、よく太尊にスクーターを貸しては壊されています。
太尊ほどではないが成績はあまり良くなく、父親に吹き込まれた「うちの店は慶長6年から続いている」との見え透いたホラを信じ込み米示に突っ込まれるまで気付かない間抜けな面もあります。小学校時代から腕白坊主で、番長だったこともあります。和美と付き合っており、スケベだが非常に一途です。卒業後は家業につき和美と結婚しました。名前の由来は山下泰裕 と作者の高校時代の友人です。
沢村米示(さわむら よねじ)

太尊の中学時代からの親友。鼻が大きく、それを指摘されるとキレます。成績は非常に優秀で、帝拳高校では中島と並びます。他校との抗争の時は、作戦を考えたり参謀的役割も果たします。小学生時代に勝嗣のクラスに転入したことで知り合い、当時は大人しい少年だったが勝嗣に喧嘩を売られたのがきっかけで秘めていた喧嘩の才能が開花し、結局は勝嗣と親友になります。
リーゼントヘアーにはこだわりを持っており、クシを常に携帯しています。京都にさゆりという彼女がいます。卒業後はT大へ進学します。名前の由来は沢村忠 と作者の高校時代の友人。
七瀬千秋(ななせ ちあき)
本作のヒロイン。太尊の同級生。優しい性格で色々な人から慕われています。初登場時の髪型はポニーテールだったが、自身の髪が質となった闘争で、太尊を助けるために自ら断髪します。ショートカットになって以後はポニーテールに戻すために伸ばしています。
入学式で女子制服がブレザーに変わった事に怒った太尊にたまたま絡まれたのをきっかけに知り合います。ごく初期の頃は勝気な言動や行動が見られ、後のキャラクター設定とは大きく異なっていたが、以降も太尊と薬師寺のケンカを止めるため歩道橋から飛び降りようとするなど、時折気の強い所、行動力を見せています。
太尊とは両思いだが、互いに奥手なため関係がなかなか進展していません。太尊が他の女子に言い寄られたりすると嫉妬をしたり、不安になって涙することも多いです。あまりに純情な性格のため、生理になっただけで恥ずかしさのあまり太尊とまともに口も利けなくなるが、他の男子とは普通にしゃべっていたため太尊から誤解を受けたことがあります。高校卒業後は短大を出て就職しています。
今井和美(いまい かずみ)
太尊らの同級生で、連載初期に勝嗣の彼女となり以降交際を続けています。中学以来の千秋の親友だが、活発で明るく千秋とは正反対の性格をしています。人の噂などを5000倍に誇張して広めるため、よく誤解を招きます。ただ親友である千秋のことはよく見ており心配もしていて、彼女に保護者的な態度で接することもあります。
千秋に負けず劣らず可愛らしい容姿で、バイト先の客である福田にしつこく交際を迫られたり、協栄の赤城に惚れられたり、修学旅行生に芸能人と間違われて追いかけられたりとモテる描写も多いのだが、千秋と一緒に不良に絡まれた時には大抵「こっちの女はいらない」「このアホそうな女」などと酷い言われようをされています。看護学校へ進学予定であったが、高校卒業直前に勝嗣の子を妊娠したことがわかり、中絶を勧められるが拒否、卒業と同時にできちゃった結婚します。最終回では山下家で主婦業をしているらしい描写があり、息子の「拓人」が登場します。
家族
前田富士雄(まえだ ふじお)
太尊の8歳上の兄。太尊いわく、「血管ピクピクさせたら最後、俺でも手をつけられない」と言うほどのケンカの強さです。極度の近眼でメガネかコンタクトがないと何も見えず、的外れなものに襲い掛かったりします。腕相撲もかなり強く24年間無敗らしいです。パンチパーマにサングラス、アロハシャツという外見はヤクザそのもの。太尊とは登場する度に口ゲンカもしくは殴り合いになっているが、用高の自立を促したり、劣勢に追い込まれた太尊を助けようとしたりもしているので、何だかんだで弟たちのことは大事にしています。高校在学当時から不良であり、卒業後は上京しジゴロになることを志しています。
卒業後は念願かなってホストとして生計を立てている。作中では度々金持ちの女のヒモとなりかなり羽振りは良かったが、最終回では勤務していた店がマネージャーの持ち逃げで潰れたため、ダフ屋に落ちぶれていました。父・文尊との再会と地元大阪での就職斡旋を恐れていたが、結局文尊と出くわし連れ戻されかけていました。文尊に「寺の息子という運命に縛られてほしくない」と思って名づけられ、自由に育てられたため、寺の長男らしくない名前・性格になっています。名前の由来は元プロボクサーの尾崎富士雄です。
前田用高(まえだ ようこう)
太尊の1歳違いの弟。街中で「六甲おろし」を口ずさむほどの阪神ファンです。後頭部に太尊の煙草ポイ捨てによってできた特徴的なハゲがある。かつては常に父の後ろにくっ付いて歩く気弱な少年だったが、その後空手を始め逞しく成長を遂げます。顔は太尊とよく似ているが、太尊に比べると幼い顔つきをしています。当初は阪神タイガースの選手になりたがっていたが、結局は寺の跡を継ぎ太尊の夢を応援する決意をしました。名前の由来は元プロボクサーの具志堅用高です。
前田文尊(まえだ もんそん)
富士雄・太尊・用高の父で、尚輪寺住職。太尊いわく「世界最強のおやじ」。年齢に似合わない鋼の肉体の持ち主で、握力90kg、パンチ力200キロ、指立て伏せ連続1000回で、親指だけでも60回をこなすほどで、身軽さもあり東京から大阪まで下駄履きで走って帰るほどのスタミナもあり、トラックにはねられても数日で退院する頑丈さも併せ持ちます。太尊いわく、小さい頃に父・文尊にお仕置きされた時は「俺は小さかったからヘッドバット3連発で済んだが、兄貴は更にパイルドライバーを食らってた」とのこと。
また、太尊の得意技であるローリングソバットは文尊の直伝で、自らも得意技としており、東京に来た時には因縁をつけてきたチンピラをローリングソバットで文字通り一蹴しました。
弱点として大の医者嫌いであり、藤竹の往診を受けた時は、暴れるのを想定して藤竹の後輩の大学レスリング部員が多く駆けつけ、取り押さえられるほどです。50代になった最近では体力がやや衰えたようだが、藤竹には「150歳まで生きるだろう」と言われています。高校時代は極東高校の初代番長を名乗り、極東の正義の番長の系譜を開いた人物でもありました。
後述の辰吉たちの大先輩にあたります。行動は聖職者とも思えない無茶苦茶さだが、彼なりのモラルにはうるさく、女性から金を巻き上げている富士雄に怒って蹴りを入れたり、現在後輩たちが通う極東高校が悪の番長に支配されていることに嘆息したりしていました。名前の由来は元プロボクサーのカルロス・モンソンです。
前田茜(まえだ あかね)
太尊の一歳年下の従妹です。小さい頃はよく太尊らの実家に泊りがけで遊びに来ていました。ブレザーの帝拳高校に転入しても長いスカートのスカーフ無しのセーラー服を着続けていたが、連載末期には帝拳高校の制服であるブレザーを着ました。小兵二軍団、のち軍団保存会の一員です。ケンカの前には必ず「戦いの舞」を踊ります。大変な悪筆です。黙っていればなかなか可愛い顔立ちをしており、小兵二に惚れているが素直になれない上、太尊の血縁であるという事実が分かった小兵二に全力で逃げられてしまっているため仲は進展しません。名前の由来は元アイドル・女優の小田茜です。
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