ジャンル: ギャグ漫画・格闘漫画・少年漫画
作者: 徳弘正也
出版社: 集英社
掲載誌: 週刊少年ジャンプ
発表期間: 1988年15号 – 1990年26号
内容
当初は、アフリカのジャングルを舞台にした「ターザン」のパロディとして一話完結形式を基本としたギャグ漫画でした。ジャングルの平和を守るターちゃん、ヂェーンとそのジャングルの動物たちが繰り広げるドタバタ劇である。連載2年目からタイトルを『新』に変更してそれまでの一話完結形式ギャグから長編格闘漫画へと移行します。長期格闘編では、バトルの途中にも要所要所にギャグがちりばめながら、シリアスな展開が繰り広げられました。
ジャングルの王者ターちゃん♡
アフリカのあるところにジャングルの平和を守るために日々戦い続ける若者がいました。その男、ターちゃんは生まれて間もなくサバンナに捨てられ、チンパンジーに育てられた過去を持つ野生児であり、鍛え抜かれた肉体と平和を愛する正義の心を持つ「ジャングルの王者」でした。
ターちゃんは密猟者やハンターたちから自然や動物を守ることを自らの使命とする一方で、私生活では恐妻家として妻・ヂェーンの尻に敷かれており、かわいい女の子やエッチなものに目が無いという一面も持っていました。ターちゃんは様々な敵と戦い、個性豊かな人々との交流や時折エッチなことに精を出しながらもジャングルの平和を守っています。
ターちゃんの強さに感服して弟子入りしたフランスの格闘家・ペドロがターちゃんファミリーに加わったところで終了し、基本的な設定を受け継ぎながら格闘路線の新ジャングルの王者ターちゃん♡へと続きます。
新ジャングルの王者ターちゃん♡
ジャングルの王者であると同時に格闘技の達人でもあるターちゃんは、時には悪人たちの邪悪な野望を阻止するため、時には自らの出生の秘密を探るために世界を股にかけた戦いの旅へと出発します。ユンケル帝国では薬物で肉体を強化したバイオ戦士、中国では気功武術を操る西派拳の拳士たち、アメリカでは異種格闘技オープントーナメントに、ヴァンパイア王国では伝説の生物であるヴァンパイア戦士たちとも激闘を繰り広げます。
さらに悪の組織「MAX」「ケルベロス」との死闘や五千年ぶりに現代に蘇ったルシュ王国の古代戦士たちとの戦いを経て、最後は未来からやってきた昆虫戦士たちとの戦いに至ります。
様々な人間との出会いの中でターちゃんは人間の持つ醜さや愚かさを知り苦悩するが、そのたびに悪への怒りを力に変えて勝利を掴んでゆきます。この物語は、動物と自然を守る男・ターちゃんとその仲間たちが悪と戦い、「地球」を救った過程を描いた物語である。
主要登場人物
ターちゃん

本作の主人公。アフリカの大地と共に育った青年で「ジャングルの王者」の異名を持つ。赤子の頃にサバンナに捨てられていたところを偶然通りかかったチンパンジーのエテ吉に保護され育てられました。身長187cm、体重110kg、血液型はB型。作中では歳月が経過するシーンがあるが正確な年齢は不明です。20歳までエテ吉に育てられたとされています。
住所は「アフリカ サバンナ 三本松7の4の10」で、国としてはアフリカ南部のザゾビアに位置しています。衣装は腰巻のみでノーパンだが、金玉がターちゃんのバランスウェイトの役割を果たしており、パンツを履いたりすると金玉が固定されるため逆に動きづらくなります。
農作業時など必要な時には着替えることもあります。愛する動物たちを守るためにサバンナやジャングルの平和を守る傍ら、妻・ヂェーンの指示で家事・食糧調達・ガイドの仕事を行っています。
自他共に認める恐妻家で、妻・ヂェーンには頭が上がらず、尻に敷かれています。趣味は料理で、得意料理は「茄子のからし味噌漬け」です。動物を殺すことが大嫌いで、肉類を一切食べない菜食主義者です。しかし肉食を好む立場を否定することはしていません。
地元の狩猟民が生活のために動物を狩ることも反対しないが、あまり好ましくは思っていません。生きるため、生活のための狩猟は認める一方で趣味やスポーツ、さらに象牙を取るなどの密漁は絶対に許しません。密猟者に対しては命まで奪うことはしないものの、叩きのめして装備を奪いサバンナからたたき出します。
酒癖はあまり良くありません。金銭感覚に乏しく、また金銭欲が少ないのでお金の管理はジェーンに任せています。超人的な反射神経と筋力を持ち、走る速さはチーターを軽く上回る時速175kmに達するほか、泳ぐスピードも普通の人間が走る速度を上回っています。
視力は5.0以上、数キロ先の気配を察知、人間の限界聴力である2万ヘルツ以上の音を聞き分けられます。嗅覚を鋭く人並み外れた五感を持っています。さまざまな動物の言葉を話すことができ、動物たちの特殊能力を真似る「動物パワー」を持つほか、動物からエネルギーを直接「気」として分けてもらうこともあります。
動物たちからの信頼は非常に厚く、ピンチのときは助けてもらったりしています。都会などで闘う時は、ジャングルの環境にいる場合に比べて力が出せないところが有ります。
そのため遠地に赴く時には、アフリカの大地が育んだ木の実を持って行き、食すことで野生のパワーを回復します。体のいたる部分の関節が異常に柔らかく自分の尻の傷をなめることもできます。体の柔軟性を生かしてくねらせることで相手の攻撃をよけることが可能です。また、陰嚢の皮を翼のように伸ばしてムササビのように滑空することもできます。体調のいい時は自力で1時間ぐらい飛べます。

基本的には徒手空拳で戦うが、場合により吹き矢やブーメランなどの武器を使用することもあります。本気で殴ると全力で車が衝突するくらいの威力があるので、普段は手加減しています。ダウンしている相手には攻撃しないようにしています。
超回復力の持ち主で常人では数週間かかるような重傷も数時間〜数日で完治してしまいます。限界を超えるダメージを受けると一旦昏睡状態に陥るが、排便することによりそれ以前の数倍の強さになって復活します。
ヂェーンと出会った頃は人語は全くしゃべれなかったが、その後、すぐに人語を話せるようになったり、格闘技の本を一晩読んだだけで、サブミッション(関節技)をマスターするなど、本来は天才的な頭脳を持ちます。そのため、ヘレンから字の読み書きや算数を習った際は、普通の人間を遥かに上回る速度で覚えていきました。
勇敢で困っている人や動物を見過ごせない性格だが、かなりのスケベです。しかし妻のジェーンはとても大事にしています。また、眼前の悪事を決して見逃さず、強い正義感の持ち主です。
最初はターちゃんの名前は一部の格闘家の間でしか知られていなかったが、ユンケル戦での闘いの様子は全世界に放送されていたため世界中の格闘家に知られることとなり、ターちゃんの強さに憧れた格闘家たちが弟子入りに訪れました。
しかし本人はジャングルで生活をしたいために、あまり弟子はとらないようにしています。世界最強のターちゃんを倒して名を成そうと、世界の腕に覚えがある強者がジャングルにやってきて闘いを挑んできます。この時にジェーンの案で大会を開くことにして参加料などでお金を稼いでいます。
平和主義な彼は格闘よりも農業などの「育てる」ことを生業とし、後述のエンリコにも将来立派な農家になってもらおうと農業を教えていたほか、息子たちには格闘技を教えておらず、優れた身体能力やふにふに避けなどを遺伝的に受け継いでいます。
ヂェーン
ターちゃんの妻。元アメリカのプレイメイトで、トップモデルとして海外でも活躍していた経歴を持っています。プレイメイト時代、撮影で訪れたアフリカでターちゃんと恋に堕ち、電撃結婚します。夫であるターちゃんに対して非常に厳しい恐妻で、かなりのかかあ天下であり、ターちゃんを尻に敷いているが、本当は昔も今も世界で一番ターちゃんを愛している。

ケンタッキー州生まれで現在の年齢は24歳。血液型はAB型。痩せていた頃のスリーサイズは98、60、93、体重48kg。現在の体重は不明。学校での成績は優秀でその後モデルとしてデビューしています。フランスの一流デザイナーへの登竜門であるレ・フェミナン賞も受賞しています。
元々はゴールデンブロンドのスタイル抜群な美女だったがターちゃんと結婚後、野生で自堕落な生活を送るようになり、別人のように肥満体となりました。食べることは好きだが料理は苦手で、特別なことがなければ一日のほとんどを読書して過ごしています。水泳は苦手ですが、戦闘能力は高いです。

人間の世界の常識をまったく知らなかったターちゃんに一般常識を教えたり、戦闘の際には参謀役もこなすなど、ターちゃんファミリーの中ではブレーン的存在です。フランス語、ロシア語、中国語など数カ国語に堪能で、エテ吉と暮らしている間にチンパンジー語をはじめとするサル語を話せるようにもなり、エテ吉にターちゃんを助ける策を授けたこともあります。
お金にはうるさく、お金を貯めたがりますが、実はその金でターちゃんのフォローと野生動物保護のために私設のレンジャー機関を創設・運営していたりもしています。
ターちゃんの影響を受けて菜食主義者ですが、カロリーを補うために牛乳を飲んでいます。ホットドックや肉マンなどの間食に眼が無くて食事管理がきちんとしているとはいえません。
来客からもらった秘薬により元の美形に戻っていますが、しばらくして元に戻っています。最終的にはターちゃんとの間に6男6女、計12人の子供を儲けてます。
エテ吉(エテきち)

5歳のときにターちゃんを拾い、親代わり・友達代わりになって育てたチンパンジーです。連載初期、ターちゃんからは「父さん」と呼ばれていたが妻のエテ子と共に名前が決まったことで以後、ターちゃんに「エテ吉」と呼び捨てにされるようになります。
なお、エテ子には逃げられています。猿でありながら、人間以上に賢く、自慰行為や変態行為を理解し、盛んに行っています。ジャングルでもっとも動物たちのことに詳しいらしいです。喧嘩は弱いが、その自慢の頭脳を使って、ターちゃんをサポートすることもあります。
ゴリさん
ターちゃんに格闘術を伝授したマウンテンゴリラ。温厚かつ思慮深い性格で、エテ吉同様に普通のゴリラ以上の高い知性を持っています。幼少時には親兄弟を皆殺しにされ。しかし親兄弟を殺したハンターたちの組織を見つけてターちゃんと壊滅させるものの、決して命までは奪うことはせず、「森の聖者」たる威厳も見せました。ターちゃんに格闘術を伝授しています。
アナベベ

ターちゃんの最古参の戦友。身長197cm、体重130kg。血液型はB型。趣味は貯金。欲しいものは戦って手に入れるという主義の持ち主です。ターちゃんと同等なくらいに目と耳などの5感が発達しています。
アフリカ最強の部族ウポポ族の戦士です。5年前にヂェーンに一目惚れし、すでに恋人だったターちゃんと争い、半日にも及ぶ殴り合いの末引き分けました。久々にターちゃんと再会して懐かしがり、ターちゃんに勝負を挑み互角の勝負を演じるが、どちらも変わり果てたヂェーンを見てショックを受けました。後に「強い戦士を絶やさない」という部族の掟により、ズベタというヂェーンに負けない不細工な女性と結婚するはめになります。
人の世話を焼くことが上手くてターちゃんファミリーとの関係は良好です。登場当初は表情に乏しいストイックな戦士だったが、ユンケル帝国編のトーナメントで優勝した賞金を元に事業を起こし、大金持ちになってからは外車を買い、サバンナの草原のど真ん中に豪邸を建てるなど豪遊三昧の生活となります。
ターちゃんと互角に渡り合う実力者だが、初期は強さが安定して描かれないことが多く、ターちゃんに比べて強さがあまり目立ちません。その後、大金持ちになり守りの人生に入ってからは、強い敵を前にすると驚いて逃げようとする軟弱な心の持ち主になってしまうが、いざというときには、友情や良心を見せます。
ターちゃん一家が参加する格闘技トーナメントには必ずこっそりと着いていき、風変りなネーミングの覆面レスラーとして出場しています(ウポポ族の掟により、素顔で戦って負けた場合、自決しなければならないため)。全盛期ほどの実力はないものの、それでも並の格闘家では太刀打ちできない強さは維持しています。
ターちゃんとは違い凶器攻撃、毒霧など卑怯な手段を使うことにも抵抗がありません。後に、アフリカに戻ってきたヘレンにかまけているうちに事業を疎かにし、株取引の失敗で会社を倒産させてしまい、元の貧しい戦士に戻ります。ズベタとは一時離婚を考えていたが、貧しい暮らしに戻ってからは以前よりも深い絆で結ばれました。
ペドロ・カズマイヤー
フランス出身の空手チャンピオンでターちゃんの一番弟子です。身長188cm、体重108kg。血液型はA型。趣味は空手修行、得意技は「回転後ろ回し蹴り」。ターちゃんを心底尊敬し、彼の行動に一々感動します。
当初はターちゃんを倒して名をあげようと挑戦したが、あまりに人間離れしたターちゃんのパワーに心服し、押しかけ弟子になります。真面目で固い性格だが恋愛には奥手です。幼い頃両親に捨てられ孤児院にいたところを今の母親に引き取られ育てらました。
実家はホテルのオーナーでコニャックを何本も送ってきたことがあります。また、フランスの名門大学であるベルサイユ大学の現役学生です。空手のみならず柔道など様々な格闘技を会得しています。格闘家としての素質はかなり高く、ターちゃんの教えにより、同じ体重級の相手ならまず負けないと太鼓判を押され、梁師範も評価しています。
実際、ターちゃんや梁師範の強さにやや隠れがちではあったが、中国編では対戦相手の青掛拳を4人抜きするなど、要所で高い実力を見せています。ヴァンパイア編にて、梁と共にヴァンパイア化するが、治療により人間に戻ると同時に体内に残されたヴァンパイアウイルスによって大幅なパワーアップを果たします。その後はターちゃん追随する強さを身に付けています。
梁師範(りょうしはん)

西派32門派白華拳最高師範。ヒゲを生やし、顔には一筋の大きな傷がある26歳です。趣味は麻雀。特意技は「積み込み」。弱点は水泳が苦手です。年齢は26~30歳です。
10年前のトーナメントでは当時すでに最強を謳われていた王翬を僅か16歳にして敗った西派最強の天才拳士です。頭首・蓮苞と恋仲で、西派の実権が黒龍拳に渡ることを阻止するためにトーナメントを勝ち抜かなければならない使命と、西派32門で白華拳が最強である限り彼女と結婚できぬ西派の掟に板ばさみになっていた(権力の集中を防ぐため、西派最強の門下の頭首は同門下の者との結婚を許されない)。
トーナメント終了後、彼女との結婚を認めてもらうため他流派に移籍するという名目でターちゃんファミリーへ入門します。しかし長老たちは「弟子が師匠(ターちゃん)について行かないのはおかしい」と言い出したため、不本意ながらもアフリカまで行くことになりました。
ターちゃんファミリーの中では少々好戦的で粗野な部分があるが、一旦親交を深めると情に厚く、心優しい性格である。また、時折ターちゃんと同レベルの下ネタもこなしたり、美少女にだらしないなどスケベな面もあります。また格闘家としても誇り高く、マット・コーガンへの雪辱を果たすべくアナベベに頼んで共にアメリカへ連れてきてもらいました。その際はアナベベのボケにツッコムなど関係も良好です。
ヴァンパイア編にて一時ヴァンパイア化するが人間に戻り、ペドロ同様ヴァンパイアウイルスにより超絶的なパワーアップを果たします。後に蓮苞との結婚が認められ、中国に帰ります。息子・空総が生まれると親馬鹿な面も見せていました。
気を使った飛び道具も得意とし、必殺技は気をビームのように放つ西派白華拳のリーサルウェポン「百歩神拳」と気の斬撃「龍炎拳」です。ウイルスの効果でパワーアップした後は百歩神拳もレベルアップし、巨体のダン国王を丸コゲにするほどの威力を引き出した。
戦いの腕は超人的だが気のコントロールにやや難があり、気を用いて治療を行う内養功の術も使えるものの、趙のような専門家には及びません。格闘家としては世界でもトップクラスの実力で、本気のターちゃんとコンビネーションができる数少ない人物です。
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