剣道のスタイルはこうしないといけないという厳密なきまりは無いですが、今の剣道界では、打突をするときに右足で踏み込むと同時に左足のひかがみを固くして後ろに蹴りこんで、面に当たると同時に左足を引き付ける現行法のスタイルを入門する時に学ぶことが主流になっています。
もう一つの打突の仕方に、右足で踏み込んで打突すると同時に腸腰筋で左足を引き付ける常歩スタイルがあります。
このスタイルは稽古場で先生から指導される機会は少ないですが、強豪高校に出稽古に行ったり大学の剣道部に在籍していた時に、何人かこのような常歩剣道を身に付けている人に遭遇することがありました。
全日本剣道選手権に出場しているようなハイレベルな選手などの中には、常歩スタイルを特に意識していなくても、沢山稽古をこなしているうちに常歩剣道に近い動き方になっている人もいらっしゃいます。
常歩剣道の動作は合理的なので、その動きを見ている方もスマートで滑らかであるという印象を受けます。私はこれからの時代は最初に学ぶ段階の時に、常歩スタイルを学べるようにしたほうがいいと考えています。
今の日本社会の問題点として、パソコンを使った頭脳労働が増えて日常生活で肉体労働をしたり、激しく体を動かす機会が減っています。そのため身体感覚が十分発達していなくて、体を器用に動かせない人達が増えてきています。
そのため元々の日本人の長所である、相手の人に気配りをしたり、機転を利かせたりするということが苦手になってきています。こういった状態を改善するためには、剣道などの習い事で繊細な身体感覚を身に付けられるようにしたほうが良いと思います。
常歩剣道を学ぶことによって、合理的な身体操作を身に付けることができます。そうすると、日常生活でも動作が機敏になって疲労感を感じにくくなります。内的な感覚に敏感になり、体の不調に気付きやすくなり、体調管理が上手くなり、怪我のリスクも減ります。視野が広くなり周囲の人に上手に気を配れるようになります。
現行法のスタイルでも、沢山稽古をこなすことで、身体感覚を磨くことは可能ですが合理的な身体感覚を身に付けるまでに時間がかかってしまうと考えられます。
剣道の良さを十分生かすためにも稽古がきつくて挫折してしまうリスクを減らすためにも私は常歩剣道を積極的に学ぶことができるようにしたほうがいいと思います。
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