武道としての剣道とスポーツとしての剣道

剣道

剣道は本来は日本古来の武道ですが、社会制度的にはスポーツとして扱われている競技です。他の西洋的なスポーツと同列として扱われていて、他の競技と同じように、部活動や組織があって毎年全国大会が催されています。

スポーツは、元々楽しむために生まれたものですが、日本では、大会で好成績を収めた人が肩書が良くなるところがあるので、勝負に勝つことが目的になってしまっている部分が多くなってきています。

しかし剣道は武道としての要素が強く含まれていて、その中の禅の精神は相手を重んじる心や色々な人から学んだり体を上手く使いこなすことを学んで、いたわることだったり、竹刀や防具を手入れすることで道具を大事にする心を学んだりすることができるものです。

日本社会には剣道を武道としてとらえている人、スポーツとしてとらえている人それぞれいらっしゃいますが、大会での好成績を求める志向が強い人は、剣道はスポーツという見方が強い傾向があります。

剣道はスポーツという感覚が強い人は、試合に勝つことを、剣理に基づいているかというよりも優先してしまいます。試合中は相手の部位を上手くとらえてポイントを稼ぐことを優先しようとします。試合で好成績を収めると、世の中で名選手という扱いをされますので剣道界での立場が強くなりやすくて、発言力が強くなります。

今の日本社会は、スポーツの大会で好成績を収めている人が有利になりやすいところがあり、剣道を武道としてとらえていて、剣道の内容を重視している人は目立ちにいところがあります。そのため剣道がだんだんスポーツ化していっています。マナーをしっかり守ったり、相手を尊重することがおろそかになってきています。

現在のスポーツ化している剣道は、本来の禅や気の文化である武道の剣道と離れていってしまっていると思います。指導者は剣道の理合いをきちんと教えることを軽視して、より速く打てるようにさせるために教え子の肉体をトレーニングしようとしたり、ポイントを稼ぐためのテクニックを教えたりしています。

本来の武道としての剣道は、自分の体を上手く使う方法を学んだり、坐禅と組み合わせることで集中力を養ったり、色々な人と剣を交えて、人から多くの事を学んだり、相手と気を合わせることを学ぶことが目的です。

これからは、武道としての剣道の良さを広く認知させる取り組みが必要だと思います。試合の時でも速く打つことよりも、相手の動きを上手くさばいて綺麗に一本をとることだったり、動作の美しさを競えるようになった方がいいと思います。

日々の稽古をもっと取り組みやすいものにして、無理なく継続できるようにして、色々な人と交流できるように変えていったほうが良いと思います。

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