発行媒体 週刊少年ジャンプ
作者 ゆでたまご
ジャンル レスリング 格闘ギャグ漫画
発表期間 1979~1987年
本作品の内容
日本に住む人間を超越した存在・超人のキン肉マンことキン肉スグルが、仲間の正義超人と共に、次々に立ちはだかる強敵とリング上で戦っていく、プロレス系格闘漫画。ゆでたまごのデビュー作であり、代表作でもある。
基本的に全ての戦いはプロレスを基礎としたリング上で行われる対等の戦いによって行われる。残虐超人・悪魔超人などと言われる超人たちであってもこの点は基本的に順守しており、リング外での奇襲や闇討ちなどはごくまれにしかない。
戦うことによって形成される友情の美しさを主眼においており、敵役として登場したキャラクター(ウォーズマン・バッファローマン・アシュラマン)たちが主人公たちとの戦いの末に仲間になるのが一つのパターンとなっている。また当初は「ダメ超人」と人々にバカにされながらも、地球の平和を守りたいと戦い続けた主人公の成長していく姿も描いている。
ギャグ色の濃い格闘漫画だったが、中盤以降はシリアスな戦闘が中心となり、終盤になるとギャグ的要素はほとんど無くなっていった。
本作の特色として、伏線や物語の整合性などを考えず、その場の盛り上がりを重視した荒唐無稽な展開の数々が挙げられる。その点が人気を博している所があります。
超人募集企画
作中に登場する超人・怪獣の大多数を読者から募集し、そこから誕生させている。その中でロビンマスク、ラーメンマン、ウォーズマン、バッファローマンといった重要キャラクターも誕生した。
超人の種類
属性による所属分類
正義超人
キン肉マンやテリーマンなどの精鋭はアイドル超人とも呼称。超人の神より与えられた能力を正義のために使い、宇宙の平和を守るべく活動している超人。力で相手を屈服させるのではなく、闘いはわかり合うために行うという理想を掲げる。
初期は主に怪獣退治を行っており、スーパーヒーローとも呼ばれていた。地球上に1000人は常駐している。誰もがクリーンファイトを身上としているわけではなく、恐ろしいファイトスタイルを売りにしている超人も存在し、それらは正義超人の一派である残虐超人に分類される。
主な所属超人は、キン肉マン、テリーマン、ロビンマスク、ウルフマン、プリンス・カメハメ、カナディアンマン、スペシャルマン、ジェロニモ(元人間)など。
残虐超人
主に反則や凶器攻撃などの残虐ファイトを売りとし、リング上での殺し合いを楽しむ超人。超人の犯罪組織を運営する者たちもいるが、正義超人の祭典である超人オリンピックに参加できるなど、基本的には正義超人内の一部勢力である。
ラーメンマンのように、リングを降りれば紳士で残虐ファイトも己の肉体のみで凶器は使わない信条の超人なども存在する。かつてはラーメンマンが残虐超人の総帥と呼ばれていた。しかし、後には正義の心を全く持たない人類支配を企むなどの邪悪なだけの悪行超人も増えていく。
悪魔超人
悪魔に身も心も血も売り渡し、大魔王サタンの下で悪魔のようなファイトをする超人。相手が死亡するまで勝ち名乗りは受けない主義で、逆に彼らにとって負けは死を意味する。源流を作ったのは悪魔将軍ことゴールドマン。
元は残虐超人以上の残虐ファイトを行って対戦相手を殺す危険な超人たちとの定義だったが、次第に上記の設定が明らかにされていった。
悪魔六騎士(あくまろくきし)
地獄の六騎士とも呼ばれる。数いる悪魔超人の中でも、特に優れた能力と高い超人パワーを持った6人。彼らを統括している悪魔将軍は、大魔王サタンの分身である六騎士が黄金のマスクに力を貸して生まれた集合体だった。また、悪魔超人の開祖である悪魔将軍は、六騎士を直接指導する師でもある。
完璧超人(パーフェクトちょうじん)
下界との接触を断絶し、より完璧な強さを求めて修業に明け暮れる超人の集団。あらゆる感情や善悪を超越したもっとも神に近い存在であると言われている。
「凶器を使ってはいけない」「敵に背中を見せてはいけない」「敗北は絶対に許されない」など厳しい掟がある。
開祖は元超人の神である超人閻魔(ザ・マン)。完璧超人は太古に神々が超人に殲滅の審判を下した際、ザ・マンにより特例で生き残りを許された完璧超人始祖(パーフェクトオリジン)の系譜を継ぐ者たちとされる。
主人公
キン肉スグル
作品中に多数登場する「超人」または「超人レスラー」と呼ばれる、普通の人間を超えた能力を持つ者たちの1人。
当初は地球の日本出身であるかに思われていたが、実は地球から500億光年離れたキン肉星に住むキン肉族の王子だと判明。後に宇宙中の超人たちの頂点であるキン肉星第58代大王となる。
真ん丸い団子っ鼻にタラコ唇という面相の持ち主だが、これはマスクであり素顔ではない。キン肉族には生涯をマスクをかぶって過ごし、もしも誰かに素顔を見られたら死ななければならない、という独特な掟があるためである。
このマスクのため、容姿に関しては「ブタ」「ブ男」などの酷評を受けがちだが、キン肉星王位争奪編で幾度か描かれているマスクをめくり上げ素顔を半分ほどをさらすシーンでは、黒髪で鼻筋の通った精悍な顔つきの持ち主のように描写されている。額には「肉」の1文字があり、尻にはキン肉族の証である「KINマーク」を持つ。
初期にはニンニクをエネルギー源、牛乳を弱点としており、巨大化して怪獣や悪の宇宙人たちと戦っていた。第21回超人オリンピック ザ・ビッグファイトの時にはカナヅチとされ父・キン肉真弓からキン肉式水泳術を伝授されるが、それが言及される以前のアメリカ遠征の際にはハワイから北米西岸まで泳いで渡っている。
超人オリンピックV2をはじめとする数々のタイトルを獲得しており、シングルマッチでの敗戦はプリンス・カメハメとの対戦をはじめとして4回だけ。
「キン肉バスター」などの必殺技のほか、カメハメから伝授された「48の殺人技」と「52の関節技」からなる「カメハメ100殺手」など多彩な技を持つ。
マスクの下の素顔から「フェイスフラッシュ」と呼ばれる万能光線を放つことも可能。またピンチに陥った際は潜在能力である火事場のクソ力が発動し、逆転勝利を収める。
性格は明るく、お調子者かつ下品。臆病者で、ラジオのギャグ怪談で恐怖したり、アニメでは「頭が脚気で足が頭痛」と仮病を使い、風呂敷包みを担いで逃げようとして試合を辞退しようとする行動がパターン化していたり、恐怖のあまり度々失禁することもある。
一方で、正義感が強く、仲間の危機を見過ごせない性格。それゆえに憎めない部分も多く、かつては敵であっても心を開き、絶大な信頼を寄せるようになることも多い。その一方で頑固で疑り深い部分もあり、素性の怪しい超人に対してはなかなか心を開かない場面も多い。
7人の悪魔超人編でのモンゴルマン、夢の超人タッグ編での2代目キン肉マングレート(テリーマン)、キン肉星王位争奪編でのザ・サムライおよびその正体のネプチューンマンなど、正体・目的の知れないタッグチームメイトを必要以上に疑い、協力を拒否して自ら試合運びを不利に持っていった例も多々ある。
人の家に図々しく上がりこんで、冷蔵庫の中の物を勝手に食べそうなので、友達にはしたくないタイプだと述べている。ダメな奴でも頑張ればどんどんカッコ良くなるというのを再現したキャラクターである。恐怖心と戦うリアルなレスラーである。
口癖は「へのつっぱりはいらんですよ」。自信があるときに言う台詞である。キン肉族の闘いの三カ条「強く・激しく・楽しく」を遵守し、闘いは強く激しいだけではなく観客を飽きさせないユーモアも必要としており、入場時のパフォーマンスは欠かさない。
キン肉ハウス
地球では自らの顔を模した掘建て小屋「キン肉ハウス」を住居としている。所在地は田園調布・美波理公園。調度品は、こたつ、テレビ、箪笥、電話。リングを設置することもできた。
当初、経済的な困窮と不人気の象徴であったが、キン肉星の王子という身分が明かされ、さらに名実共にアイドル超人となった後も、スグルは正式な王位継承までの20年間この1Kの質素な家に住み続けた。
スグルの仲間もこの家を正義超人の象徴のひとつと捉えており、取り壊しの危機にあったときはかつての仲間たちがここに集まった。
しかしミートの冷凍睡眠の場所として使用されたため、取り壊しは免れた。その後、息子の万太郎もまた地球での住居として使用している。
得意技
キン肉バスター(キンにくバスター)
プリンス・カメハメより伝授された48の殺人技の一つ、別名「五所蹂躙絡み(ごどころじゅうりんがらみ)」。
相手の両脚を手で掴み頭上に逆さに持ち上げたまま飛び上がり、相手の首を自分の肩に乗せた状態で尻餅をつくように着地する。首折り・背骨折り・股裂きがミックスされた技である。
キン肉ドライバー(キンにくドライバー)
キン肉バスターを破られたキン肉マンがテリーマンと協力して編み出したオリジナル技、別名「疾風迅雷落とし(しっぷうじんらいおとし)」。相手の股に頭を挿し込み、担ぎ上げると同時に空中に飛び上がる。
そのまま相手の身体を反転、両足首を掴み、上腕を足で踏みつけるようしながら落下しマットに叩きつける技。首折り・両腕折り・両脚折りがミックスされた、変形型のパイルドライバー。
技の着想を得たのはアシュラマン戦でのフィニッシュホールドとなった変形ツームストン・ドライバーであるが、完成形では相手の体の向きを入れ替えて変形のドリル・ア・ホール・パイルドライバーとなっている。
当初は相手を空中に投げ、落下してくる所を捕らえて技に入ろうとしていたが必ずしも逆さまの体勢で落ちてくるとは限らないと、弱点を見抜いたテリーマンに簡単に破られた。その後、巨大イノシシの乱入により上記の掛け方へと変更された。
マッスル・スパーク
キン肉族三大奥義の一つ。相手をブリッジで空中に打ち上げることにより抵抗力を奪い、自身も飛び上がり自身の腕での相手の腕をチキンウイング気味につかみ、左足で相手の左足、右足で相手の首をロックし、最後は仰向けの状態で相手の身体の上に乗るように両腕、両足をつかみマットに激突させる技。
未完成マッスル・スパークとアタル版マッスル・スパークを組み合わせて完成させた技であるため完璧マッスル・スパークとも呼ばれ、火事場のクソ力を復活させ使用した際は7000万パワーマッスル・スパークと呼ばれた。
天は無理な体勢で技をかけるため、自身の筋肉や関節などに大きな負荷がかかることが判明しており、そのことが原因でキン肉真弓は元々筋肉が硬かった故にマッスル・スパーク習得を諦め、キン肉スグルは王位争奪戦終了後に受けることとなった集中治療室で一ヶ月間昏睡状態になったと語られている。
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