太気拳は創始者の日本人の澤井健一氏が中国人の武術家の師匠の王宇僧から学んだ意拳を独自にアレンジして、日本人のための武術として生み出したものです。
太気拳は基本の稽古法の立禅と這、練り、揺り、迎手と組手などの応用の稽古法に分かれています。その中でも立禅と這は武道的な体つくりのための稽古法で、これらの稽古法で培われる筋力、体力、身のこなし、気力などは、剣道や柔道や空手などの他の武道にも応用を利かせることが可能です。
これらの太気拳の稽古法は、体をゆっくりと少しづつ動かしつつ動かしている部位をよく意識して行います。それを繰り返し行うことで、神経が発達して器用で繊細な身のこなしができるようになります。指先や腕や胴体などの体の重みを扱うセンスも鍛えられていきます。
私たちは激しく体を動かして体を鍛えることに関しては、直観的に分かりやすくて日常的にトレーニング法を取り入れて行っていますが、このような太気拳のようなゆっくり体を動かしながら鍛えるという観点は見落としがちです。なので、剣道などの武道の稽古に立禅や這を取り入れることは不足している部分が補えるのでとても有用だと私は思います。
一般的な剣道の稽古は精神的にも肉体的にもきつく感じるものが沢山あります。私は子供の頃は意図的に終わる時間が決められていない掛稽古や、10分以上掛かる先生との掛稽古や稽古が終わる間際に抜き打ちで跳躍素振りを100本やらされたりするなどの追い込むタイプの稽古に関して苦手意識を持っていました。
それらは先生達もわざと生徒を追い込んで、精神的な辛さを克服するために敢えて課しているものですが、それらは剣道の稽古はしんどいというイメージを与えやすい部分だと思います。
それに対して太気拳の稽古は、解説本には厳しい稽古とは書かれていますが、剣道の稽古に比べると主体的に取り組めて、かつ行いやすいものです。
太気拳の稽古は、自分で時間を作って自主的に行うことができて、無理そうなときにはいつでも休憩をはさむことができます。毎日継続させると体の切れが良くなっているのが実感できるので楽しい感覚があります。例えるとドラゴンボールの修行をやっているような感じです。
私は剣道の稽古はもう少し取り組みやすいものにした方が良いと思います。これからの子供達は主体性や好奇心などが求められていると感じています。そのためには立禅などの太気拳の稽古を取り入れることが有用だと私は思います。
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