剣道をする人にとって、筋トレをすることや筋トレをしないことは個人の裁量に任されるところがあります。稽古メニューに筋トレが課されることは少なくて、ほとんどの場合個人の自主性にゆだねられます。
筋トレをやったほうがいいという意見や、しないほうがいいということはいろいろな指導者によって考え方に違いがありますが、私は自重で筋力トレーニングをすることに関してはあまり害があることではないと思うし、
実際に筋トレで自分の体の感覚がどう変化するのかを経験できるし、剣道のパフォーマンスの向上も期待できるので個人でやってみるのは良いことだと思います。
普段剣道の稽古をしているとマシンの筋力トレーニングに手を出したい誘惑にかられる時があります。例えばマシンのトレーニングで背筋の筋力の数値が100kgから150kgに上がったら、剣道が劇的に変わるのではないか?とつい期待してやりたくなったりしますが、
特定の部位の筋力の大幅向上は体全体のバランスを損ねるリスクがあります。そのうえに自分の体の繊細な感覚を見失いやすいです。一方で身につけた筋力を維持することの大変さもあります。現代の今の段階でマシンのトレーニングで身につけた筋力をどう剣道のパフォーマンス向上に結び付けるのか未知数の部分が多いので、私はあまりお勧めはできません。
その上に剣道の技量の上達の面で考えるとマシンのトレーニングで筋力を劇的に上げて、筋力で相手に勝つことを覚えると、それに頼って自分で体の使い方を工夫しなくなる恐れがあります。自分で頭でよく考えるという過程がなくなってしまいます。
剣道をしている人には、体格が小柄だったり、片腕をなくしていたり、体が不器用だったりある程度ハンディキャップがある人のほうがいい選手に育つことが多くみられます。
そういう人達は剣道の上達のためには、強い人と自分を見比べて、どこが違うのか思い悩んだり自分で試行錯誤する過程をとても大事にしています。
最初からセンスや体格に恵まれている人よりも、いろいろ課題がある人のほうが、自分でよく研究するようになります。そのためできるだけ、今の現状の体格のままで上手い体の使いかたを身につけさせるという考え方のほうが剣道の技量の上達にとっては良いと思います。
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