私が剣道人口が減っている理由の一つとして、大人や途中から始めたい人に対する受け皿が少ない点が挙げられます。剣道は子供のころに入門して、その後も適性がある人は継続させるのが一般的ですが大人になって剣道に興味を持つ人も中にはいらっしゃると思います。しかしそういう人が、剣道に入門するための環境が少ないと思います。
今の世の中で大人で剣道をしている人は、少年時代から剣道を始めていて、基礎が十分身についていて交流がある仲間同士で、より実力を高めて段位を所得したり、大会での好成績を目指すために取り組んでいる人が多いと思います。
歳をとってから剣道に興味を持つ人は多いと思いますが、大人から始めるのは敷居が高いところがあります。他の趣味で行われる、ボーリングやテニスや卓球などのスポーツに比べても、剣道には稽古がきついというイメージがありとっつきにくいところがあります。
そのうえに、大人から始める人は、子供のころからやっている人と比較して技量に差があるので、大人から剣道を初めて一緒に熟練者と交わって稽古をするのにはハードルが高いところがあります。私は現行のアスリートとして強さを求める剣道とは別の武道としての剣道を磨くためのカテゴリーがあっても良いと思います。
武道としての剣道は、他の人と争うことが目的ではなく、自分の心を整えたり、健康維持に役に立てたり、礼儀作法や気配りの力を身に着けたり、自己防衛の力を身につけたり、自分の心や体を鍛えるのを目的で行われるものです。
それはあまり肉体的に無理をせずに、自分と向き合いながら自分のペースでこつこつ継続させていくものです。団体に所属して、毎回同じ人とみんなで一緒にやるというよりも、自分でSNSなどを活用しながら、いろいろな稽古会を渡り歩いていろいろな人と交流を深めていきます。
今のシステムは、大人になってから、気軽に稽古をして剣道を続けるための制度や仕組みが足りていないと感じます。剣道は、競技者として強くなる以外にも、日常生活での、心を整えたり、落ちていて地に足のついた人生を歩むためにも役に立つと思いますし、健康を維持するためにも役に立つと思います。
そういう競技者として以外の修練目的の人のための、システムがもっと求められると思います。
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