私が札幌で太気拳を教わって、自分でトレーニングを始めてから2年半が経過しています。2年半太気拳の立禅、這いに取り組んで、自分の体にも変化が見られます。太気拳を行うと、どういう風に体が鍛えられて、役に立つかを考察したいと思います。
まず立禅や這いに取り組んでいると体全体の感覚が軽く感じるようになり、てきぱき動けるようになります。普段のランニングやウォーキングの時でも、意識していなくても自動的に体が前に進むような感じになり、体が疲れにくくなります。普段の動作は器用になり、音を立てずに要領よくこなせるようになります。
剣道の稽古の時の感覚にも変化が見られます。足の運びがスムーズになり、跳躍素振りも楽にこなせるようになり、基本稽古で相手と対峙したときに勝手に闘争心が沸くようになります。長時間稽古していても自分に無理をして頑張っている感覚がなくなります。自然体で稽古をしている感じになって集中力があって充実感があります。
太気拳は他の武道の補助として役に立つ
太気拳はイメージ的につかみどころがなくて、他の拳法と同様に「拳」と名前がついているので、剣道や空手や弓道などのほかの武道や太極拳などの武術と同列で扱われやすいのですが、他の武術に比べて異色なところがあります。
太気拳はそれ自体はフォームというものがなくて、動き方はみんなばらばらになり、勝ち負けの判定が難しくて競技にすることも難しいものです。しかし他の剣道などの武道をやっていて、稽古をある程度積んでいて基礎が身についている人で、もっと自分の体にあったスタイルを確立したいときに、他の武術の動きが参考にできないかを考えているときにこの太気拳の考え方はとても役に立つものだと思います。
太気拳の稽古をこなしていると、どの武道の動きにも共通する、気の感覚だったり、体全体を同時に動かすことだったり、機会をとらえて懐に飛び込むことなどの、重要な要素を身に着けることができます。
今の剣道の課題として、つばぜり合いでなかなか相手から離れられなかったり、三所よけをしてしまったり、剣先の攻防が少なかったり機会に飛びこむことが少なかったり、手数やスピードに頼ってしまうところがあります。太気拳は以上のような基礎的な武道の体を作る働きがあるので、今の稽古法の不足している部分を補う役割が期待できると考えられます。
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